第112話 地上に戻れば莫大なお金が手に入る?
デルクは収納かばんの作製に成功してから少し休み、考えた。
あれ?もしかしてもう糸を紡がないのなら、繭自体を切って縫えばよかったんじゃ?
デルクは繭に穴をあけ、その穴を拡げてそのままカバンとして使う試みを実行し、付与を施した結果見事成功、収納かばんが完成した。
しかしながら、こんな大きく使いにくい状態じゃなくても、繭をカットし手提げなり持ち手なりを取りつけばそれだけでカバンになったはず。
そもそも糸を採取するつもりで繭を確保したけれど、今糸を紡ぐのは難しく、そして繭自体はそれなりの強度があるので、少し縫えば糸がほつれる事もなく、そのままカバンとしても使える大きさ。
『まだまだだな、こんな初歩的な事を見落とすなんて。』
この後デルクは繭を半分にし、それぞれをカバンにする事で1つの繭から2つのカバンを作成するという、ある意味非常に贅沢なカバンが出来上がる。
そしてその収納力。
もうどうしたらいいのか、既に10トン程入れられ、長さも10メートルほどまで一度に入る。
10メートルあれば、普通の民家がすっぽり入る大きさ。
10トンと言う総重量もデルクとしてはもう訳が分からない。
収納かばんを新たに4つ作り、それぞれに使ってもらう事にするデルクだった・・・・
・・・・
・・・
・・
・
拾えど拾えど、際限なく落ちている宝石・・・・の原石。
最初ロースとセシルも拾った宝石を見てその後を想像した。
宝石の持つ輝きを夢見てうっとりとしながら拾っていたのだが、流石に量が多すぎてもはや夢を見るどころではなくなっていた。
徐々にダレてしまうのだが、ここでロースはある事を思いつく。
「ねえセシルちゃん、価値のありそうな宝石をどれだけ集められるか勝負しない?」
「価値のある宝石?」
例えばダイヤモンド。
透明なダイヤモンドには永遠の輝きと言われる価値があるが、色付きのダイヤモンドは、モノによってはそれ以上の価値がある。
真っ赤なダイヤモンドやブラックダイヤモンドと言われていたりする。
サファイヤもルビーも然り。
ただ、10代になりたての少女が宝石の原石を見極める事が出来るはずもなく、最終的に誰が判断するのか?
「デルクが戻ってくるまでの勝負。そして鑑定はデルクにしてもらうのよ?どうかしら。」
「デルクは鑑定持ち。わかったその勝負引き受ける。」
こうして時間制限はデルクが戻るまで。原石の判定はそのデルクが行うという、デルクの都合を無視した女の戦いが始まった・・・・はずなのだが、
「ねえセシルちゃん、これどう思う?」
真っ赤な原石を手にしたロースがセシルに聞いている。
「ルビー?サファイヤ?ダイヤモンド?素人ではわからない。」
「そうよねえ?」
暫くして、
「ロースこれどう?」
セシルが手にするのは少し黒ずんでいる原石っぽい何か。
「うーん、わからないわ。屑石かもしれないし、もしかしたら恐ろしいほどの価値があるかもしれない。私達には判断できないわね。」
結局2人は仲良く宝石の原石を集めていたのだった。
そして自然とボッチになってしまったレイナウト。
『?今誰か失礼な事を考えてなかったかい?僕は空気を読んで一人で黙々と作業をしているのだよ・・・・って誰に喋っているんだろう。疲れてるんだな。』
空気を読める男性と言うのは、時に孤独になるものです。
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