第92話 まさかの理由

 そしてロースが精霊から聞いた話だと、大穴って冒険者もそうだけど、魔物も結構落ちるみたいです。


 魔物はいいけど、人も結構落ちるのですか・・・・


 一体何故人が落ちてくるんだろう。

「ねえロース、何故人が落ちてしまうのか分かるかな?」

「ちょっと待ってね・・・・『え・・・・え?それ本当に?ちょっとそれは人としてどうかと思う・・・・』」

 これは想像しているのと違うのかな?


 僕としては魔物との戦闘中に追い込まれ大穴に落ちてしまうとか、魔物と共に落ちるとか、そう言うのを想像していたんだけど・・・・


「あのね、言いにくいんだけど・・・・」

「えっと言いのいくいの?」

「うん・・・・精霊が私の代わりに喋ってくれたらいいんだけど。」


 そうロースが言うと、どうやらロースと会話をしていた精霊?がロースに何か語っているみたい。

『え?出来るの?じゃあお願い。あ・・・・魔力かあ。ちょっと待ってね。』

「あのね、精霊が私達へわかるように声を発するには、それなりに魔力が必要なんですって。どうしよう。」


「それは僕の魔力でもいいの?」

「ええ、いいみたい。」

「じゃあどうしたらいい?」

「手をかざして・・・・そう、あ、精霊がデルクに近づくから、抵抗しないでね。」

 抵抗なんかできるのかな?

 そう思ったんだけど、成程。

 何かが手に触れるような感覚が。


 そしてその直後、何となく怠くなります。

【人間よ、我の声が聞こえるか?】


 あ、聞こえる!

「凄い!聞こえるよ!」

「ん。綺麗な声。」


「おお!精霊の声ってこんなのなんだ!」


 セシルもレイナウトも聞こえるようです。

 さて、じゃあ聞こうかな?

「精霊さん、ロースが言いにくそうにしているんだ。教えてくれないかな。」


【・・・・いいが知れば後悔するぞ。】

「え?そんなに大事なの?」

【いや、下らぬ理由だ。大穴で用を足す愚か者共が多いのだ!】

 ・・・・へ?用を足す?

 つまり大穴でおしっこしちゃうの?


 5層毎の家にトイレがあるのに?

 用を足すとかならロースもそんなに言いにくそうにしないと思うんだけど。

【特に男が多い。局部をさらしたまま用を足す訳だが、どういう理由か知らぬが、用を足すとどうやら大穴に魅入られてしまうようで、吸い込まれるように大穴へ落ちるのだ。】


【家】にトイレがあるのに何で?

【かいほーかんが得られると言っているようだが、我にはわからぬ。】

 僕にも分かりません。

 そして用を足している時に、穴に吸い込まれるような感覚になるというのが気になります。


 何かの罠なのかな?


 それとも匂いにつられて魔物が背後から襲う?

 あ、でもそれは魔物がいるエリア限定になるしね・・・・


 まあどうでもいいのですが、まさかの用足しをている時に落ちる・・・・

 これはダンジョンから何らかの意思表示なのでしょうか?


 しかしかっこ悪い死に方です・・・・

 あ、じゃあちょっと前に落ちた人も?

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