第72話 2人の回復を待つ

 2人をマットに寝かせて休ませます。

 実際2人は限界だったのか、あっという間に寝てしまいました。


 さてここがどの階層でしょう。

 少なくとも魚の体当たりを受けた感じはないので、目指していた根菜エリアと魚エリアの間、根菜エリアの下は鉱物エリア、その更に下が魔物エリア、そしてずっと下って魚エリアの上は瓜エリア・・・・この可能性があります。


 で、どうやら今この場には魔物は出現していないようなので鉱物エリアか、ボス部屋のエリア、もしくは瓜エリアの可能性が高いです。


 問題は此処がもしボス部屋のエリアだった場合です。


 ボス部屋のエリアは、大穴を挟んで出口と入り口があるので、ここが出口の方なら問題ありませんが、もし入り口側ですとまた大穴を使わないといけません。


 しかし見渡す限り何もなさそうなので、きっと鉱物エリアなのでしょう。

「セシル、僕は此処がどのエリアなのか確認しに動くので、2人を頼みます。」

「危険じゃない?」


「ここが魔物エリアならとっくに危険だけど、どうやら魔物の襲撃はなさそうだから、僕は此処が鉱物エリア、つまり88層だと思っているんだ。だから上へ向かう階段を見つけ、上に向かってみるつもり。もしここが僕の見立て通りなら、上は根菜エリア。それに今いるエリアには何もないだろう?たぶん鉱物エリアで間違いないはずなんだ。」

「わかった。私は2人を守る。」


 セシルが理解してくれたようなので、僕はこの周囲の探索と階段を探します。

 もし下に向かう階段があっても降りません。


 僕の見立て通りなら下は魔物エリア。

 暫く進んでみると、壁らしき場所があります。


 どうやら鉄鉱みたいです。

 今の僕でしたら土魔法で鉄程度であればどうにでもなるので、試しに鉄を土魔法で地面に移動させます。


 すると大量の鉄が地面に落下。

 そしてドゴッと言う音と共に、鉄に囲まれていた別の鉱物が落ちてきます。


 あれ?見慣れない鉱物ですが・・・・なんだろう?


 試しに鑑定すると、


【アダマンタイン】


 と出ました。

 【アダマンタイト】とも言われ、たぶん名称が若干違うだけで、同じものだとは思うのですが、一説によれば名称の違いはダンジョン産と地上産の違いとも言われているようですけど、そもそも滅多にお目にかかれない伝説の鉱物。

 まあ名称の違いなんかどうでもいいです今は。


 それより僕は暫く固まりました。

 以前ヒヒイロカネを手に入れた時と同様の驚きです。


 それに結構な大さの塊に見えますが、いいのでしょうか?

 僕は手にしたアダマンタインを収納していきます。

 周囲には何だか似た感じの場所がいくつかあります。


 階段を探しつつ、同様に土魔法でアダマンタインが存在していそうな周囲の鉄を取り除き、出現したアダマンタインをどんどん収納かばんに入れていきます。


 もう間違いないです。ここは鉱物エリア。

 しかもアダマンタインが採掘できるエリア。


 ここは目指した根菜エリアより1つ下のエリア、鉱物エリアで間違いないでしょう。ではどうするか。


 階段を探し根菜エリアへ進み、ボスエリアの【家】を目指すべき。

 あそこなら2人を十分休ませる事が出来るはず。

 ただどうやって2人をあそこまで移動させるか。

 僕はアダマンタインもそうですが、鉄も収納かばんに入れていきます。


 鉄も素材としては魅力があるので、道具を作成する時に大いに役立ちます。

 というより普通に活動する分には鉄は扱いやすいので、もし獲得できるならどんどん獲得していく方がいいのです。

 ただし、僕が持って来ている収納かばんは容量・重量に制限があるので、その制限内でしか持ち帰る事ができませんが。

 なのでもし収納能力を超えてしまうのであれば、貴重な品を優先し、鉄は諦めないといけません。

 それまでにもっと高性能な収納かばんを用意できれば問題ないのですが。


 そして暫く歩くと階段を発見。

 階段を上るとそこは・・・・あれれ?土ばかり?

 鑑定すると土の中には何かの根が。

 試しに土魔法で周囲の土を取り除くと・・・・


【自然薯】

 と出ました。


 僕はこの自然薯を仕舞い、3人の居る場所へと戻ります。

 現在いる階層がはっきり分かればもう用はありません。

 そして【家】に戻って落ち着いてからでも十分根菜を収穫できますから。

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