第36話 襲撃

 魔法陣が機能していない?

 これはどういう事でしょうか。

「いやな予感がするぜ・・・・仕方がない、もっと下へ行く。それと、他の冒険者と極力接しないようにするぞ。」

「で、でもまだここは上層よ?冒険者ってまだ沢山いるわ!」

「じゃあ上に戻るのか?」

「歩いて戻れないの?」

「さあ・・・・やった事ないしな。」


「あの、ヴィーベさん、リニさん、様子が変です。」

 僕達の後からやってきた冒険者達。

 武器を所持したままこちらに近づいてきます。

「ちっ!走るぞ!」

 ヴィーベさんはリニさんと僕の手を取り、駆け出します。


 後ろの方で、

「感づかれたぞ!追え!そして・・・・殺せ!」


 今殺せって言った!確かに殺せと聞こえました。


「リニ!足を止めるな!15層まで一気に行くぞ!」

「え!!だってそんな・・・・13層までしか行った事ない!」

「だけど他に何か手はあるか?考える時間はない!!いいか!ボス部屋に入っちまえば暫く手出しできねえはずだ!デルクも急げ!」


 僕達3人は必死になってこの場を離れます。

 階段が目の前に見えます。

 11層へ向かいます。


 11層は木材。

 森が僕達3人にとっては逃亡の手助けになってくれてます。

 しかし逆に言えば、正体不明の襲撃者にとっても都合のいい隠れ場所。

 いつ襲われるか知れず、気が気でありません。

 しかし何とか12層へ下る階段が目の前に。


「急げ!追いつかれるぞ!」


 僕が先に下ります。

 次にリニさん。

 そしてヴィーベさんがやってきますが背後で、

「うぎゃあ!」


 と声がします。

「階段に油をまいた。すぐに消えるが、追っ手に対して暫くは有効だろう。」

「畜生!こんな所に油まきやがって・・・・ぶっ殺す!」


 うわ!追っ手の殺気が増したようです。


 12層は根菜?

 本当ならお野菜の収穫なのでしょうが・・・・収穫する時間はありません。


「行くぞ!」

 突っ切ります。

 そして13層、確か銅鉱となっていたような。


「ヴィーベ、足が痛いわ。」

「我慢しろ!もう少しだ!」


 僕も横っ腹が痛くて、これ以上は走れそうにもありません。

 そしてまたまた何かに躓きます。いてて・・・・いったい何が?

 こ・・・・これは!?

 何やら銅とは違う輝きを放つその何か。時間がないのでそのまま収納します。


「くそ!仕方ない、歩くぞ!もう少しなんだ!」


 何とか先に進みますが、14層への階段付近に、何人かの冒険者が陣取っています。


 ど、どうすれば?


 あ、そうだ、認識阻害のアイテム、確かカバンに入れていたような。

 僕は歩きながらカバンを確認。

 ありました。

「ヴィーベさん、認識阻害の腕輪があります。」

「え?持ってきていたのか?」

「ええ。これを使い、あとはスキルで騙しましょう!!そうすれば突破できるのでは?」

「そ、そうだな、今は考える時間もない。それでいこう。」


 僕達は遊び人です。

 一応大抵のジョブになる事ができます。

 で、詐欺師を選択。

 スキルに変装というのがあります。

 これで別人に成りすまします。

 こんなので上手くいけばいいのですが。

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