第10話 現役の遊び人

 目の前にいる人は、30歳半ばに見える、つまり青年から壮年になりかけている人・・・・なのかな?

 こう言っては何ですが、世間でいう遊び人とは全くかけ離れた姿を・・・・身なりは小ぎれいで、いたって普通の服?じゃあない・・・・上等な素材で仕立てられた感じの、これからちょっといい所に出かけても違和感のない姿。


 そして、僕がやって来たのは通りから少し中に入った・・・・裏口と思われる場所。


 以前、もし遊び人になったらここに来るよう指示されたのが・・・・ここなんです。


 それ程立派な感じには見えませんが・・・・


 中に入ると、驚いた事に品のよい調度品がさり気なく?計算されている?洒落ているというべきなのでしょうか、違和感が無い、嫌味が無いと言うのかな?が、いくつか飾ってあり、僕はどうやら客間へ案内されたようです。

 ああ、こういうのを洗練されたと言うのでしょうか。

 そして中は思っていたのと違い、かなり広い感じがします。

 あ、そうそう、歩いている途中で違和感を感じましたが、僕が訪ねた遊び人の方は、お構いなしにどんどん進んでいきましたので、気のせい?と思いそのままついていきます。


 そして通された客間・・・・

 なんていうのか、立派な部屋で。

 ソファーがあり、テーブルもきっといいものなんだろうなあと。


 もしかしてお金持ちですか?


「まあ立って話すのもなんだから、座れ。」


 そう言われ、座る前にまずはお礼と思い、

「あの、その、突然訪ねましたが、こうしてお会い下さりありがとうございます。」

「・・・・ふうん・・・・以前会った時も思ったがお前、歳に似合わぬ礼儀正しさがあるな・・・・」


 そう言ってこの男性は僕をじっと見てきます。

「そう言えば名乗らなかったが、トゥーニス・ファン・ホーヘンドルプと言う。まあこの街では数少ない、遊び人のジョブ持ちだ。」

「ファン?もしかしてトゥーニス様は貴族の方でしょうか?」

「・・・・よく分かったな、それと別に様付けしなくていい。トゥーニス・・・・では流石に歳が離れてるからな、さん付けでいい。」


「あ、はい、では失礼して、トゥーニスさん、本日はお会い下さりありがとうございます。僕はその、遊び人の職業を引いて、その後も引き続けましたが、3つとも遊び人でした・・・・」

「ほう・・・・3つ共か・・・・それは素晴らしいな!お前相当運がいいな?」

「え?確かにステータスの運は高いようですが、遊び人は皆外れスキルと言って、仲のよかった友人は僕から離れ、育てて下さった伯父や伯母は、僕を家からその・・・・追い出しました。」

「何だ坊主、家なしになっちまったのか?というかお前、そもそも名前は?もしよかったらカード見せてくれ。できればステータスもだ。」

 僕はこの人の事を分かりっていませんが、全て見せる事にしました。

 暫くして、


「・・・・ほう?10歳ながら幾つかスキルがあるじゃないか?これはいい・・・・わかった、今日から坊主・・・・デルクというのか?デルク、お前は俺の弟子だ。」

 え?いきなり弟子?


「その、いいのですか?僕みたいな素性の知れない人を弟子にしても?」


「ああ構わんよ。それと、遊び人と言うのはな、世間で言われている様な遊んでいる職業の事じゃないからな。それも踏まえ、後々教えてやろうじゃないか。それに・・・・だ、デルクは宿なしになっちまったんだろ?俺の手伝いをすれば、3食飯付きでここに住んでいい。ああ、手伝いと言っても勿論合法だ。犯罪行為は一切ないから安心しな。」


 あれ?住む場所も提供して下さるなんて、なんていい人なんでしょう・・・・

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