★地下水道、探索~レッドデーモンの呪い~

GM:ハイ、ここは魔動機文明時代の遺構をそのまま利用した地下水道。水路脇には、人が2人並んで歩ける程度の足場が通されてます。


ポポ:馬に乗って歩けるかな?


GM:大量の生活用水を巡らせたり、掃除・管理がしやすいように多少広く作らてれてます。1部位なら問題なく騎乗可能です。


アトランタ:エレファント差別に余念がありませんわね。


GM:アルフレイム大陸にそんな騎獣はいないので知らん(※生息はしてます)。下り坂の水路を進んでゆくと途中で道が、北・南・西に分岐。


ヘキサ:左手の法則……。


GM:ダンジョンマップは無いので大まかな方向だけ決めて、進むことになります。



 冒険者たちは探索・足跡追跡判定で、西方面にウリの汁&魔神の血痕?が点々と残されているのを発見。痕跡を追って西ルートを進みます。



GM:通路を西方面に進み続けると、水路に汚れた水が混じり始めます。


ポポ:とてもくさい。


ヘキサ:ううん……無駄に服が汚れそうだな……。


GM:悪臭に耐えながら長い時間をかけて追跡を続けると……数十メートル先の通路の曲がり角の向うで、ギィギィとさわぐ、怪物的な鳴き声が聞こえてくる。


ヘキサ:無言で剣を抜く。争う音ってことは複数いるか。


ポポ:下水ワニとかの鳴き声じゃないよね。


GM:曲がり角の向うで響く戦闘音。時々、パッと炎の明かりが灯る!


ポポ:とりあえず見に行ってみよう。グラランは好奇心に弱いのだ。


GM:「ギャース!」曲がり角の向こうでは、3体の怪物が争ってます。『赤黒いスライム』2体が、ザルバードらしき魔神を追い立ててる。


アトランタ:魔神同士の戦い……?


GM:ザルバード?は火のブレスを吐いて敵をけん制していますが、防戦一方です。


ポポ:どういうことなの。とりあえず魔物知識、仮称・ザルバードも一緒に(ころころ)達成値は17、17。


ヘキサ:(ころころ)ボクも達成値両方12。


GM:知名度だけ看破。スライムの方は魔神シャバライ(9レベル)。毒飛沫をまき散らすブヨブヨ魔神です。ザルバードとの戦いでHP・MPが減少してる。


ヘキサ:(データ見て)刃クリティカルしないんだ。ザルバードの方は?


GM:ヘキサはザルバードじゃない?って思った。一方、ポポは違和感を感じた。


ポポ:こういうときは……そうだ! 真偽判定とかそういうの!


GM:うん、PTで真偽判定していいですよ。


ヘキサ:(ころころ)高い。ボクの達成値22が最大だ。


GM:ザルバードは怯えるような振る舞いを見せ、シャバライたちから逃れようとしている。そして身体の所々には千切れたボロ布を纏ってます。なにか、別の生き物が化けているっぽい? HP・MPは残り20点です。


ヘキサ:やはり……! まずはシャバライを倒そう。


アトランタ:だいたい分かりましたわ。見敵必殺!


GM/エドガー:「おうっ、魔神を討つぞ!」シャバライたちも冒険者に気づいた。仮称・ザルバードは戦場外ってことで……。


アトランタ:(ころころ)19で先制奪取。で、2体いますの? 仕方ありませんわね……溶かします。


GM:それやだよォー!


アトランタ:恨むなら毒液を飛ばす癖に毒耐性持ってない己を恨みなさい! 5点石砕いて【アシッド・クラウド】ォ!


***


 はい、一瞬で溶けました。


 範囲攻撃魔法の連打に加えて、シャバライは防護点0のモンスター。攻撃回数の多いポポのいい獲物です。刃クリティカルの強みを潰されているはずのヘキサも、魔力撃の追加ダメージでシャバライを圧殺しています。


***


GM:魔力のこもった一撃が魔神を切り裂き四散させた! 戦闘終了……かな?


ヘキサ:ふぅ。やはり固定値は正義だね。


ポポ:とりあえずザルバードっぽいものの様子を伺おう。


GM:「ウァウ、ウガァァウ……!」 威嚇するように唸り声を上げ、後ずさる。


ヘキサ:やぁ、ボクはヘキサ・ノックス。知ってるね? ザルバードに挨拶。


GM:……ヘキサのあまりに場違いで穏やかな挨拶に、少し警戒を緩めた。


ポポ:こまった……何言ってるのかさっぱりわからない。


GM/エドガー:「残るは1体か。任せろ!」 剣構え。


アトランタ:待ちなさい、エドガー。謎は全て解けました。……しかしワタクシたち魔神語使えないのですよねぇ。


GM/ザルバード?:「ワ、ダジ、ハ……」よーく聞こうとするなら魔神語じゃないのが分かります。「魔神……ジャ、ナイ」 そしてよく見れば、この魔神は手に〈オーブ〉を握り込んでいる!


ポポ:……? ……! そうか!


GM:そう、この魔神は――――



ポポ:お腹が空いてるんだね!!!!!



一同:!(笑)


アトランタ:ややそう。部分的にそう。……失敬。魔神が纏ってるボロ切れを取って、エドガーに見せてみましょう。これ、見覚えありませんこと?


GM/エドガー:「……これはハルーラの神官服! コリーヌのものだ!」


アトランタ:ビンゴ。――これが人質ですわ。


ヘキサ:やはりそういうことか。彼女が“コリーヌ”だったんだ。


GM/ザルバード?:「エド……ガ……? 、死ンデタ、ハズジャ?」


ポポ:そっと保存食を手ににじり寄ってみよう。


GM:サルバード?はポポの差し出した保存食を受け取ると、ガリガリと貪るように食べる。睡眠&空腹ペナルティ付きの状態だったのだ。


ポポ:あっという間になくなってしまった。


アトランタ:肉体変異のオーブを悪用されましたわね。いえ、悪用以外はできないものなのですが……。


GM/エドガー:「ヤツらはオレにコリーヌを斬らせようとしていた!?」


アトランタ:ええ。これが、教授が“魔神を問答無用で切り伏せろ”と言った理由。……この推論、間違っていませんわね? “コリーヌさん”。


GM/ザルバード→コリーヌ:というわけでここからは普通にしゃべります。「ありがとう……そうです、私は調査隊に同行していた神官です。このオーブをケストナー教授に渡してはいけない! エドガー……魔剣はどこ!?」


アトランタ:取られたというか、乗っ取られたというか。


ヘキサ:老人の腕を掴んだのは、お代が気になったのかな?


GM/コリーヌ:「正体を伝えようとしたのです……」 みんなとエドガーから説明を受けて事情把握。コリーヌも、五日前の遺跡で起こった出来事を説明します。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●これまでの経緯

 今から五日前。コリーヌたち5人の調査隊は探索の末、オーブの封印されたティダン聖域を見つけました。その時、聖域最奥の扉は『ティダンに所縁ゆかりのある神を信仰する神官にしか動かすことのできない』よう、祝福によって守られていたそうです。


 しかしケストナー教授が、『中のオーブを確認すべきだ』『危険な遺物を放置するわけにはいかない』と強く主張したため、調査隊は疑問に思いながらも扉を開け、〈オーブ〉や魔神の壺が封印された部屋に踏み込んでしまいます。


 直後、ケストナーと黒い魔剣が魔神使いの本性を現し、コリーヌ以外の冒険者を殺害。コリーヌは拘束され、『お前は優れた“依り代”になるだろう』と、〈堕落のオーブ〉に触らされ、魔神に変身してしまったのでした。


 あとは黒い魔剣に封じられた魔神将が、コリーヌの肉体を乗っ取って復活するだけだったのですが……不幸中の幸い。コリーヌは魔神ボディの筋力で拘束を破り、〈オーブ〉を奪って、封印の扉を閉じ、遺跡から逃げ出せたのでした。


 その後、コリーヌはこの事実を誰かに伝えようとしていたのですが、魔神の姿のせいで人々から石持て追われ、地下水道に隠れていたそうです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


GM:街に湧いてた魔神はケストナーの追手おって魔神コリーヌ狩りを煽るために放ってたものでしょう。……人質に取っていたんじゃないかって? もちろんウソです。


ヘキサ:ケストナー、なんて非道なことを!


GM/コリーヌ:「思えば、一か月前に現れた魔神からして、遺跡のオーブを手に入れるためのケストナー教授の自作自演だったのかもしれません……」


アトランタ:エドガーは落とし穴で1回、遺跡で1回死亡。ああ、例の〈魔神化血清〉はもしかしてこのために……? 気付かない間に魔改造表振ってません?


GM:ズボン脱いだらお尻に魔神召喚紋とか生じてるかも。


ポポ:このオーブって、触っただけで魔神になったりするの?


GM/コリーヌ:「はい、気を付けてください」盗んだ文献あるし鑑定はボーナス+4。


ヘキサ:任せたまえ、(ころころ)達成値16だ。


GM:看破。穢れ持ちやルーンフォーク以外が接触して精神抵抗に失敗すると、「自身の冒険者レベル(魔物レベル)」の魔神に変異する呪いのアイテムです。効果が発動するたびに「レベル×2」点の内部MPを消費する消耗品。残りMP88点。


ポポ:もう封印と言わず、火山に投げ込むとかしたほうがいいのでは。


GM:学究院に持っていけば、処分なり封印なりしてくれるでしょう。


ヘキサ:魔神化は解除できるかな? 治って欲しいという気持ちはあるけど。


GM:達成値20の永続呪い属性効果です。


アトランタ:……昨晩の神殿襲撃も、解呪手段を封じるためのものかも知れませんわね。エドガーを解呪したのは知られてたわけですし。


ポポ:知らない人のとこに連れてったら門前払いだよね。


アトランタ:まぁ、その辺りはワタクシの【イリュージョン】でどうとでもなります。どうせ街中を移動させる必要がありますし。


ヘキサ:ボクの【チャーム】もね。


GM:まだ言うか。


アトランタ:対人チャームは騒動の元ですわよ(笑)。


ヘキサ:ふっ……愛と自由の前には倫理など……!


ポポ:好奇心の前には大抵のことは許されるって知り合いが言ってた。


GM:悪い魔神使いと同じような事言ってる。ぎりぎり“混沌にして中立”でいいか。


アトランタ:ひとまずオーブはエドガーに預けておきましょうか。


ヘキサ:穢れの無いボクらが持つとあれだからね。


GM/エドガー:「う、うむ。オレが命に代えても守ろう」


ポポ:別にポポが持ってもいいけど。変身するのちょっと興味あります。……はっ、魔神変身のMP消費と解呪を繰り返せば処分できるかも。


ヘキサ:……やめておきたまえ。キミのお墓を作りたくはない。


アトランタ:シャバライみたいになったらどうしますの! ショッキング映像ですわ!


GM:ポポは8レベルだし……テラービーストに変身?


アトランタ:名状しがたい魔神に!


ポポ:「〇おぞましい姿」で解呪を邪魔してしまう(笑)。やめとこう。


アトランタ:コリーヌさんは【イリュージョン】をかけてアステリア神殿まで連れて行きましょう。今、復興で忙しいかもしれませんが。……元の姿知らないんですよねぇ。実家にいた侍女の姿にでもしますか。(ころころ)達成値21。


ヘキサ:メイドさんになった。やっぱり実家太いんだ。


アトランタ:発声は厳禁。人との衝突にも気を付けるように。


GM/コリーヌ:(無言でこくこく頷く)


ヘキサ:格ゲーとかにありがちな、当たり判定広いやつみたいだね。


アトランタ:中身は3m魔神ですからね。異次元タックルですわ!



 一旦、地下水道から離れて回復を挟む冒険者たち。



アトランタ:学院にオーブ封印しにいきます? 先に解呪でも構いませんが。


ポポ:オーブはあんまり持ち歩きたくないけど、学院で誰がどう教授の影響受けてるのかイマイチ読めないんだよね。


アトランタ:たしかに。魔神使いは洗脳とかしますし。


ヘキサ:教授も来そうだけど、いいか。どうせ殺すんだし。


GM/コリーヌ:「(ぶ、物騒)あの。センドア教授であれば信用できると思います……少し変わり者ですが」リルドラケン教授の伝手で、理事連に話を通すルートはいかが?


アトランタ:こないだ鑑定してくれた人!


ヘキサ:無料のおじさん!


ポポ:大丈夫? あの人うっかり好奇心に負けて魔神化しようとしたりしない?


GM/コリーヌ:「興味の対象は魔動機や魔法生物だそうなので安心かと」


ポポ:それならいいか。


アトランタ:このオーブ、魔神化するだけで精神はそのままっぽいので……案外万が一のことがあっても元気に魔神教授として生きていくかも。


ヘキサ:キングスフォールの学院に名物教授の誕生じゃないか。


GM:“名”のある魔“物”ネームド・モンスター教授、誕生。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る