第12話
──そう願ったのがもう3ヶ月前だ。
「ななちゃん、休みや言うてもそろそろ起きなアカンのちゃう?」
ベッドでぐっすり眠る私を揺り起こすのは、ハスキーな声。
「あともうちょっと……」
「5秒以内に起きな襲うでー」
5、4……とカウントする晴にチッと舌打ちをして、起き上がる。
「……なんや、残念」
ベッドに腰かけた晴がふふん、と笑って私のボサボサの髪を撫でる。
「……接触禁止令」
「これもアカンの!?」
本当に私の家に転がり込んできた晴と(不本意ながら)一緒に住むようになって、彼に課したルール。
その①、家事は分担。掃除や食事の片づけなど、できることは手伝うこと。
その②、女は連れ込まないこと。(これを言ったら「どんだけ溜まっても他の女なんか使うわけないやろ!」って怒られたけど)
その③、過度な接触は禁止。
仮にも「好きだ」と言われている相手だから、こんな年上の女でその気になるのかは甚だ疑問ではあるけれど念のために出した禁止令だ。
「好きな女目の前にしてこれはこれでしんどいな……」
ぼそっと呟いた声は聞こえないふりをした。
「せっかくの休みなんだから寝かせてよ~」
「俺の昼飯かかってんねんもん」
「はあ?自分で作ってよ!」
今度は晴が聞こえないふり。仕方がないとキッチンに向かう私は意外と世話好きなのかもしれない。
「今日、夜ご飯はないからね?どこかで食べてくるなりしなさいよ」
何気なくそう言うと、晴の目がぎらりと光った……ような気がした。
「ああ、合コンやっけ?ええよ、わかった」
昨日はあんなに突っかかってきたくせに、やたらとあっさり許可するらしい。
……なんで私が拍子抜けしてるのよ。
「はよ、腹減ったー」
なんて呑気に洗面所へ顔を洗いに行った晴に、ため息をついて私も手を動かした。
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