第25話 一応、これでも魔王とのバトル中(3)
最後に、空から朱雀が降りてくる。
首を傾ける朱雀の背から、【アリエーヌ=ヘンダーゾン】が降りてきた。
その身にまとう服は、もはや見るも無残なほどボロボロ。
切り裂かれた布地が、まるで紐のように垂れている。
押さえつけるアリエーヌの手によって、その布は白き肌にかろうじて密着させられていた。
だが、朱雀から降りるには、両手を布から離さなければならない。
朱雀の首に手をまわし、ゆっくりと地面に降りるアリエーヌ。
その体から、かつて服であった布がはらりと落ちた。
とっさに顔を赤らめるアリエーヌ
すでに俺の存在に気付いていたのか、地面に降りると同時に身をよじり、ぺたんとお尻をついた。
「ダメなのじゃー! 見てはまずいのじゃ! マジュインジャー!」
だが、もう遅い!
俺の目は、すでにその状況を完璧に記憶した。
もう、脳内で何度も何度も繰り返し再生できるように、記憶の奥深くに重要機密情報として保存されたのだ。
だが、俺はこの時、気づかなかった。
そう、この可愛い記憶データに上書き不可のチェックを入れることを忘れていたことに。
それから3年後、この記憶は妖艶な大人の女性によって上書きされることなる。
そうかそうか……
俺は腕を組みながらうなずいた。
姫様の胸は、手のひら約一杯分か……
そうかそうか……
可愛い……
福音の調べとともに白き天使が無数に天へと舞い上がる。
そして、男たるものが全員所有する天使スキル発動!
俺の下半身がリラックスした。
まぁ、無事でよかった!
しかし、俺の目の前の女どもは、どいつもこいつも胸をあらわにしている。
こいつら変態なのか?
もしかして、俺を誘っているとか?
これはハーレム?
いやいや、おそらくこれは貴族のお嬢様方のお遊びの一種なのだろう。
ここでしっぽを振って喜んで飛びついてみろ!
犬のように首輪をつけて、一生もて遊ばれる人生だ!
ほれ! マーカス! とっておいで!
真っ裸の俺の鼻先に白い布が投げられる!
俺は、うれしそうにハアハアと息を吐きながら、必死にその布めがけて走るのだ。
そして、白きパンツを咥えて駆け戻る……
よく頑張ったのじゃ、マーカス!
アリエーヌの白き手が、俺の頭にパンツをかぶせる。
みじめだ……
みじめすぎる……
えへへへへっへ……
おっと! いかん! いかん! ここは気を付けなければ……
ここは我慢だ! 我慢!
賢者タイムになった俺の思考は、静かにこの状況を分析した。
だが、俺は重要なことに気が付いた。
この胸をあらわにしている4人の女たちよりも、俺の姿ほうがまずいのではないだろうか。
先ほどから、森を吹き抜ける風が、俺のおいなりさんを揺らしている。
そう、今の俺はフルちんで腕を組んで仁王立ち。
どう見ても俺のほうが変態である。
はたから見れば、四人の女の子を襲っている変態さん。いや、魔王である。
まずぃぃぃぃい!
これは、非常にまずぃぃぃぃい!
こんなところに街の治安を預かる守備兵でもいれば、俺はすぐさま投獄される。
そして、二度と性犯罪を犯さないように、そのおいなりさんをチョッキンパ!
没収されるのだ! おいなりさんが!
ヒィィ!
それを想像した瞬間、俺のおいなりさんが、小さなミートボールに変った。
その様子を白けた目で見る四人の女の子。
いやーん! エッチぃ!
とっさに俺は前を隠して身をよじった。
「この根性なし! そこでガバッと押し倒して、男をみせんかい! 男を!」
うん?
俺のそばの木陰から女の怒鳴る声が聞こえてきたような気がした。
なんかどこかで聞いたことがあるような声なのね……
なんだか懐かしい母の声のようにも思えた。
というか、絶対、お母さんの声だよ! これ!
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