あいつのあいつ

バブみ道日丿宮組

お題:誰かのあいつ 制限時間:15分

あいつのあいつ

 あいつの悪口をいうのはよしてくれ。

 そんな手紙が机の中に入ってた。

 

 あいつ。


 あいつとはそもそも誰のことだろうか?

 クラスで孤立してる僕は特定の誰かと付き合うということがない。交流があるとすれば、プリントの配布であったり、体育の準備運動で組まされるくらいだ。あとはそうだな。グループ学習とか。

 ちなみに余り物が割り振られるというわけでなく、割と人気物件。なぜ、どうしてが浮かんでしまうが、そうなのだからそうとしかいえない。


 で。


 あいつは誰なのか。

 よく組んでくれるこか? それともいつも挨拶をしてくれるこか?

 わからない。情報が少ない。集めようもない。

「……」

 クラスに視線を向けてみても、誰かがこちらに着目してるということはない。

 グループごとにいつものように会話してる。日直は黒板を綺麗にしたり、本を読んだり、ゲームをしたり、スマホをしたりと。

 怪しい様子をしてるのは僕以外にいないだろう。

「ーーさん。どうかしたの?」

「別になんでもない。ただーー」

 近づいてきた生徒にその手紙を渡す。隠す必要はない。もしかしたら、解決してくれるんじゃないかという期待もあった。

「……いじめ?」

 どこをどう考えたらいじめという発想になるのだろうか。

 僕は誰かを孤立させたことはないし、罵倒したことも、暴力を働いたこともない。

「ねぇ、これ誰いれたの?」

 手紙がクラスに浸透した。

 誰もが声を発した生徒に目を向ける。

 そして手紙の内容が伝わってく。

「わからないみたいね。ーーさん、これ預かってもいい?」

「別に構わない」

 大事なものでもない。そこからなにか情報を取り出すのかは知らないが、任せてみよう。

「……」

 クラスは元の空気に戻ってく。

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あいつのあいつ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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