生体

バブみ道日丿宮組

お題:やわらかい視力 制限時間:15分

生体

 内臓だけの存在になれたとしたら、どうだろうか。

 壊れた部分を新品に取り替えて、常に健康。毎日がエブリデイ。

 まぁまぁ内臓が不良品であるならば、それもなくなる。

 最終的に心臓か、脳みそだけになればいいのだろうか? それでも病気になれば、意味がない。

 ならば、記憶のデジタル化か。

 インターネットの海を自由に行き来する生命体であるならば、平和でいられるか? ウィルスとして駆除されないだろうか。バグが発生しないだろうか。

「……眼洗いたいなぁ」

 長生きはしたくないが、身体の不調があるパーツをそのままにしてるのは辛い。

 眼なんかは取り外して、アルコール消毒や、網膜の入れ替えなんてできれば、スマートでいいだろう。

「そこ、無意味な独り言言わない!」

 生徒会長がホワイトボードを叩いた。

「だって、永遠なる身体ってテーマなんて、解決策ないじゃないですか」

 ため息が深く漏れる。

「しょうがないでしょ。これが研究会のテーマなんだから」

「だからといって、生徒会がやる必要ないじゃないですか……」

 その結果として、今日参加してるのは私しかいない。

 生徒会長からの呼び出しだというのに、メンツは逃走を図る。

 この人が生徒会長になれたのは、一体なぜだろうか。未だに根強い人気があるが、演説してたときのパーソナリティは存在しない。


 ひょっとして、中身が入れ替わった?


「なに? いいアイディア浮かんだ?」

「別にないですよ。眼がかゆいって思うだけです」

「前に目薬買ってあげたでしょ? それ使いなさい」

 そういえば、そうだったとかばんから目薬を取り出し、眼に指す。何適か失敗しておでこについたが、なんとかかゆいのは収まった。

「これですよ、これ。この失敗がないのが永遠なる身体には必要だと思うのです」

「それはあなたが下手くそだからじゃないの?」

 その下手くそさがなくなるのが永遠なる身体なのだろうか? いや……個性だよね? パーソナリティだよね? えっ違う? 嘘……。

「何一人で喜怒哀楽を繰り返してるのよ」

「素朴な疑問がわいたもので」

 ならば、仕方ないわねと、生徒会長はホワイトボードにすらすらと文字を書いてく。

「とりあえず、生体のパーツ化を主体にする方向でいきましょ」

 やっぱそうなるのかぁと思いつつ、今日の生徒会をゆったりと過ごした。

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生体 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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