きよくありたかった

バブみ道日丿宮組

お題:清い人間 制限時間:15分

きよくありたかった

 結婚するんだという事実を理解するのに、時間がかかった。

「一夫多妻だね」

 妹が笑顔でそういう。

「まるでエロゲの主人公みたいだ」

 頬を殴ってもらい、現実を理解。

「まさか幼馴染全員と結ばれるなんて思わなかったよ」

「……俺だってそうだ」

 現実なのだと理解はしてるが、みんなで化かしてるんじゃないかという考えが頭の中をぐるぐるとまわる。

「小学校からずっと一緒だったんだし、当たり前も当たり前じゃないかな」

 そうだろうか。

 今日結婚する4人は、小学校、中学校から、高校、大学と一緒だった。

 さすがに仕事場は違うが、誰しもが同じような職についてる。

「これで私もおばさんになるのかぁ」

「まだ早いだろ」

 知らないのと妹が首を傾げる。

「もうできちゃってるって聞いたよ」

 はじめてきいた。

 いや、そういったことやったっけ? あまり記憶にない。忙しい社会の荒波に飲まれつつあった社会人生活で、いつも彼女たちが部屋でくつろいでたような気もしなくもない。

「まー、さすがに全員が全員赤ちゃんができたわけじゃないんだけどねー。でも、30歳だからね。ぼちぼちってところじゃない?」

 指を折りながら、何かを思考してる妹。

「さすがに5人以上だと、大きな部屋借りないと無理だねぇ。あっでもあれ? 全員同じベッドで眠る?」

「いや……」

 それはないと思う。

 お互いのパーソナリティスペースは侵食してはいけない。

 ……一日交代で一緒に眠るのはいいけど。

「お兄ちゃん顔がエロい顔になってるよ? なに想像してるんだか知らないけどさ、結婚式なんだよ? もっとしゃっきとしてよ、しゃっきと」

 肩を何度も叩かれた。

 そうなんだよな。

 結婚式なんだ。誰の? 自分のだ。

「おっ、そろそろみたいだね。見に行ってみようよ」

 手を引かれ、俺は花嫁がまつ待機室へと誘導されたのであった。

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きよくありたかった バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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