カテゴリー10の雨
バブみ道日丿宮組
お題:10の豪雨 制限時間:15分
カテゴリー10の雨
雨の種類を知ってるだろうか。
それは1から10の数字が割り振られてて、それぞれが特別な意味合いを持つ雨となってる。
「……ん」
ただそれを知ったところで、教室から見える雨というのは雨でしかない。
教室には私以外誰もいない。
6時という早朝のこともあるが、雨が強いというのもある。
私が外に出たときはまだ弱かった。
これは集中豪雨というカテゴリーだから、10の数字を持つ雨。
「いやぁーー失敗失敗」
「……きたんだ」
びしょ濡れになった友人が教室の扉の前に現れた。
「早起きできたから今日は早くこようって思ったんだけどなぁ。見事に失敗した。こりゃ、10の警報がでる勢いだろうね」
「途中で帰ればよかったのに」
「学校が休みなるからか?」
そうと静かに頷く。
数字が割り振られた雨は、必ず休みになる。
それは会社でも、学校でも同じ。
全員が全員、休まなければならない。
これはかつて無理やり行ったことによって、王族が死んだことから決定づけられてること。
「学校で君が暇するだろうなって、思ってね」
あぁもう下着までぐちょぐちょだよと、ワイシャツを脱ぎ始める。
「もっと異性っていう自覚を持ったらどうなの?」
「どうせ君以外こないし、問題ないよ」
こっちは問題だらけだ。
育ちに育ったたわわな胸、みずみずしいふともも、ぷっくらとした安産型のお尻。どれもが凶器以上に鋭い刃物として突き刺さってくる。
「恥ずかしがっちゃって、可愛いやつ」
友人は脱ぎながら、隣の席へと腰掛ける。
「はー、今日帰れるかなぁ」
「雨次第でしょ。天候破壊は1-3の間にあるものが有効でそれ以外には効果はない」
人類は天候をある程度操れるようになった。
とはいえ、万能ではない。10の雨にはほぼほぼ無効力。
「いつか毎日晴れになったらなぁ」
「そうしたら、今度は水が足りなくなる」
自然現象が変わってしまえば、そこに住む動物は変化に耐えきれず滅びる。人類がいかに知恵を得ても、抵抗力という変わってない部分を補うことはできていない。ならば、結果は決まってる。
抵抗も虚しく滅びる。
それが決定事項。
「あっ、警報でたね」
かばんから取り出したスマホを操作した友人は、画面を見せてくる。
「これで雨が止むまでずっと一緒だね」
どうして彼女は笑うのだろうか。
「どうして楽しそうなのって思ってるでしょ? それはねーー」
あなたと一緒だからだよ。
カテゴリー10の雨 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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