オオサカ

 オオサカ城の天守閣。

 聖女と魔法使いが賢者が来るのを、今か今かと待ち構えていた。


 賢者を迎える準備は万全であった。


 魔法阻害・魔力吸収・速度低下など、ありとあらゆるデバフの魔法陣を聖女と魔法使いが何重にもかけている。

 賢者を拘束するための罠を、魔法およぶ物理的にかけている。


 あとは賢者が来るだけである。


「聖女様、なかなか来ませんね」

「きっと、こちらの様子をうかがっているのでしょう。でも、これだけの罠があれば大丈夫。今度こそ勇者様は私の物よ」


 二人とも、ニヤニヤと悪い顔で笑う。

 自分たちが負けることが無いと確信していた。


 そう


 賢者が、来さえすれば・・・









 オオサカ城の地下室。

 クイーンサイズの巨大なベッドの上に、将軍様が毛布を掛けられて寝かされていた。


 ナラの宿にいるところを、聖女と魔法使いによる睡眠スリープの魔法で眠らされ拉致されてきたのだ。


 まだ、魔法の影響で眠りについている。

 宿で着ていた浴衣のままである。


 地下室の扉の鍵が開けられる音がし、扉が開いた。


 入って来たのは、異世界の勇者。


「ニシシ・・・・お邪魔しま~す」


 そして、セーラー服を脱いで下着姿になる。

 下着姿で、将軍様の寝ているベッドの毛布に潜りこんだ。


「これぞ、肉を切って骨を断つってことかしら」


 異世界の勇者は、賢者に完敗した。

 だが、そのことで将軍様を手に入れることができたのだった。


「将軍様・・・素敵な夜にしましょうね~」


 目を閉じたままの将軍様に話しかける。


 その頬に口づけをし・・浴衣の上から胸をさわさわと撫で・・・もんだ。

 張りがあり、弾力のある大きな胸。


 ニッっと笑って・・・その腰・・・そして両足の間に手を滑り込ませた。



 むにゅ



「へ・・・?」



 その手に、あるはずのない物の感触。

 硬くて太い、棒状の物・・・・


 すると、将軍様の眼がぱっちりと開いた。


「あら~~ばれちゃったわね~~」

「え!?え!?」


 にっこりと微笑む将軍様。

 ガシッと異世界の勇者の腰を抱く。


 もう一つの手で、・・・髪の毛・・・かつらを取り去った。

 そして、耳の後ろから・・・顔を覆っていた変装をはぎ取った。



 変装を取り去ると、魔王軍遊撃隊長の顔が現れた。




 遊撃隊長は、イガの衆の変装によって将軍様と入れ替わっていたのである。

 アスカ村において入れ替わっていた将軍様と遊撃隊隊長。

 

 睡眠の魔法にかかったふりをしていたのである。


「え?え・・・え!?」

「今頃、将軍様と賢者様はオオサカ港から船で北海道に出航したころっすよ。さぁ・・・」


 ウインクして、下着姿の異世界の勇者の腰を引き寄せた。

 股間と股間が密着する。


「素敵な・・・熱い熱い夜を楽しみましょうね♡」


 全身から蕁麻疹を噴出した、異世界の勇者。


「きゃああああああああああ!いやぁああああああ!!!!!!!」


 地下室に、悲鳴が響き渡った。







「それにしても、勇者様まだかしら・・・」

「聖女様、お腹がすいたのでたこ焼きを買ってきました!」

「あ!いいわね~~」


 聖女と魔法使いは、熱々のたこ焼きを、ハフハフ言いながら食べる。


「それにしても、来ませんね~~」

「もう・・・私の勇者様、焦らすわね♡」


 たこ焼きを食べながら、賢者を待ち続けるのであった。


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