とある計画

お題：純粋な計画 制限時間：15分

とある計画

「ヨシッ！」

　遠征できる資金は整った。休日もとった。休憩もした。

　あとは、止まる宿が見つかれば、彼女に会いに行ける。

　きっと驚くだろうな。喜ばれて思わず涙を流してくれるかもしれない。

「……ふふ」

　楽しみ。

　そのための有給休暇。そのための貯金。そのための欲望。

　とりあえず、予定だけ送っておこうかな。

　驚きすぎて会ってくれなければ意味がないし……でも待てよ。どうせなら彼女の家に泊めてもらうのもありかな？

　まぁ……家族住みだから厳しいか？　結婚してないから同じ部屋で眠るのもなにかへんな感じがあるだろうし（同性だから大丈夫だろうけど）。

　なんにしてもここまできたんだ。成功させたい。

　会社の上司の小言を長時間聞いて我慢して勝ち取ったんだ。嬉しい未来があってくれないと困る。

「えっと……」

　休日になにか予定はないか、と。

　なにか欲しいものはないか、と。

　私のこと好きかどうか、と。

　etc etc etc.

　いろんな言葉が次から次へ出てくる。

　そのおかげもあって、かなりの長文になってしまった。

「……いっか」

　愛なら仕方ないよね。愛情表現だもの。きっと彼女も許してくれる。

「……ふふ」

　ニヤケ顔が止まらない。

　一緒になったら、なにをしようかな？　手をつないだり、抱きしめ合ったり、キスをしたり。今まで我慢してたことが全部できちゃう。

「……はぁ」

　ほんとであれば、どちらかが仕事を変えて一緒に暮らすべきかもしれない。

　けれど、彼女はやりたい仕事をやったほうがいいといってこうなってしまった。

　やりたい仕事……なのだろうか。毎日上司の文句を聞くことがやりたかったことなのか。

「……」

　転職も考えるべきことかもしれない。彼女に会ったら、相談に乗ってもらおう。そして可能だったら、一緒に住もうって言ってみよう。

　なんにしても長期休暇だ。部屋の片付けとかしておこう。帰ってきてやるのはすごくめんどくさいしね。