3. ちょっと今から仕事やめてくる
これはええ作品です……私は全ての新入社員にこの本を配っておくべきだと思います。
かつて戦場(※書店員時代の売り場)にいた頃は、軽めのお仕事ものかと思っていました。仕事辞めて人生楽しむ系の。
しかし、辞めるのは最後の最後でした。
ブラック企業に勤める新入社員が、昔の同級生だと名乗る人物に出会う。
仕事を辞めるところまで追い込まれたことのある人には、少々キツイ内容かもしれません。
軽いノリの大阪弁キャラには救われます。
上手いと思ったのは、謎が段階的に用意されていた点。飽きずに読み進められました。
出会った青年に関して、二段階。それから職場にも用意されています。
文章は飾り気がなく読みやすいです。この内容で過度の表現は、かえって作品を損ねてしまうと思います。
創作仲間からは、自己啓発っぽさがあるという意見をもらいました。純粋な小説としては楽しめないという意味で。
たしかにそんな面はあります。ちゃんとした物語ですが、どちらかというと普段は小説よりエッセイやビジネス書を読む人に勧めたい作品です。
ただ、この作者は本当に心から、読んだ人が一人でも救われたらと思って書いているんだろうなと感じました。
メッセージがストレートで強い作品も、世の中では求められていると思います。何か伝えたいことがあるとして一冊書き上げるなら、この本はお手本になる。
メッセージを作品のテーマとして据えたうえで、物語という外枠を用意し、登場人物にメッセージを言わせる手法です。
この外枠なしに(=必然性なしに)セリフで代弁させちゃうやり方、よくやってしまうんですが、取ってつけたような違和感が出てしまうのです。
読み返したいかと聞かれると、一度でいいと思いますが、読んだ人を救う作品を書くのもいいなと思いました。
(2021.5.29読了)
次はブギーポップです。
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