第2話
家に帰ると急いで自室へ向かう。
勢いよく扉を開け、半ば乱暴に鞄を床に置くと、飛び込むようにベットに寝転がった。眠くはないが、頭を少しでも整理するために目を瞑る。
『男じゃなくても俺と友達でいてくれるか…?』
光はあの後、まるで子鹿のように震えながら俺に聞いてきた。
俺が「当たり前だろ」と答えると、光は安堵の表情をみせる。緊張が解れたからだろう、彼女のビー玉のようにキラキラと輝く大きな瞳には、大粒の涙が溜まっていた。
「友達か…」
目を開け、天井の染みを見つめると、誰にも聞こえないほどの小さな声で呟く。その声はどちらかと言うと溜息に混じった声に近い。
俺は決して男女の友情は成立しないと思っている訳では無いが、どうしても「もしかしたらその先の関係を築けるのではないか」とこの漫画のような展開に、恋愛経験が皆無な俺は淡い期待を少しばかり抱いてしまう。
しかし、そんな期待を抱くと同時に、彼女との思い出が頭を過ぎり、邪な感情を抱いてしまう自分を軽蔑し、「最低だ」とまた一人呟くのであった。
親友に「実は俺、女なんだ」と明かされた俺の話 @tukky777
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