第44話
優愛さんとの一件で、少し心配になった。
いじめられているなんて知らなかったし、分からなかった。
「大丈夫かなぁ」
ボソッと声に出てしまった。
僕は、自室で勉強に飽きてイスの背もたれを使い切るようにぐてーーと蕩けていた。
「ゆぅ〜くんっ」
「へ?お、お姉ちゃん?」
頬がツンと突かれたような感じがして、見上げるとお姉ちゃんがいた
「えへへ、そーだよぉ〜どうしたのそんなにぐてぇーとして」
「なんでもないよ、ていうかお姉ちゃんノックしてから入ってよぉ!」
「ん〜?お姉ちゃんノックしたよ?」
コテンと頭に疑問符を浮かべていた。
え?ノックしたの?じゃあ僕.........
優愛さんのことで考えすぎていたみたいだ。
少し心配してたは今をもって嘘になった本当はすごく心配していたのだった
「ノック....本当にした?」
「もうっお姉ちゃんを信じれないの?」
ん〜?と顔を近づけてくる
「近い近いってばぁ」
「んぅそれにしてもゆぅ〜くんかわいいなぁこのままペロペロしちゃいたいなぁ?」
「もうやめてよお姉ちゃん」
「えへへついゆぅ〜くんが可愛すぎてテヘッ」
「てへっじゃないよもぅ」
「あぁもぅぅ!!ゆぅーくんがわいぃぃ!!」
「ちょ?!おねっ....むっ!」
急に抱きついてきて、お姉ちゃんの胸の中に顔が挟まれた
すごい勢いだったから椅子と一緒に倒れそうになった。
それにしても、お姉ちゃんの.....すごい圧だ。
息がしにくいけど、ほんのり香るお姉ちゃんの香りが名残惜しくなる。
「はわぁぁずっとゆぅ〜くんを抱きしめてたい!」
「んむんむっんっむむむ!」
「え?ゆぅーくんもお姉ちゃんに抱きしめられてたい?うん!お姉ちゃんも絶対離さないよぉぉーーー!」
離してよぉぉ!と言おうとしたが、お姉ちゃんはもっとそれに力を入れ、余計に離れにくくなってしまった。
「ゆぅ〜くんもうベット行く?行くよね?!お姉ちゃん我慢できなくなっちゃった!」
「んむっ!んんんん!」
頑張って離れようとしても、お姉ちゃんの技によって抜け出せなくなってしまった。
「えへへ、ゆぅ〜くん.....イチャイチャしよ?」
僕はどうやら逃げられないようだ
この後僕は恥ずかしくもお姉ちゃんにバブってしまった。
♢
「主人様?」
お姉ちゃんは可愛いと思うけど襲ってきて少し怖いし、優愛さんは心配だし......
「主人様?」
うぅ......最近考えることが多くなってきたよぉ
「主人様!」
「ふぇっ!?な....菫さん?どうしたの?」
「どうしたのじゃありませんよ主人様......ずっと呼んでいましたのに.....」
「そ、そうだったの?!ごめん菫さん!考え事してて.....」
「......考え事ですか?一体それはどのようなものでして?」
お姉ちゃんに襲われるのが怖いなんて言えるわけもなくどうしていいか分からなくなってしまった
えっと....なんて言ったらいいのかなぁ
「まさか......私以外の女の事を考えていたなんて言いませんよね?」
「ひっ.......」
そう言う事は考えていなかったけど....菫さんに心を読まれてしまった
そして僕は隠すのが苦手でつい表情に出してしまった
「図星ですか.......えぇ私が悪いのは分かっています、だって私の誘惑がまだ足りなかったから主人様は私で満足できないそう言う事ですよね.....私は主人様に全てを委ねた身主人様に命令されるだけで至上の幸せでしたがどうやら私の方からも積極的に行かないといけないようですね.....ボソボソ」
急に暗い顔をしながら俯いて、ボソボソと何かを言っていた
「す、菫さん?」
「主人様?私では満足ができないのでしょうか?」
「そ、そんな事ないよ!って言ったら変な意味になっちゃうけど菫さんといて楽しいよ?」
「あ、主人様......はっもう!主人様誘惑しないでください!」
「え?してないけど?」
「主人様に話しかけられたら全部私にとって誘惑なんです!」
「えぇ......」
僕は菫さんの暴論に屈しそうになった
すると学校のチャイムが鳴り始めた
授業開始の合図だ
次の授業は、数学
そして僕の苦手な授業のひとつである。
つまり、菫さんの誘惑それから聞かなくなった僕は放課後菫さんのマンツーマン授業というプロセスが見え見えだ。
そんな僕の今日は案の定その通りになった。
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