クズの独白
バブみ道日丿宮組
○
昔は生きる夢があったよな。そのための教材を送ってもらったり、学校に行ったり、恩師に導いてもらったりと色々な道を歩いてた。
けれど、それがいざ叶ってみるともう先がない。
先が見えない。
二十代後半でもう終わってた。
だからこそ、治るものも治らない。進もうというものがない。作りようもないし、動きようもない。制御してるのは自分の脳みそ。動かせるのは身体だけど、全くエネルギーがない。補充できるものさえない。
後退が正解なのかと言われるとそれは違うとわかる。先に進むことはあっても下がることはできない。
そうわかっても後ろを振り向いてしまう。
そこには誰もいない。
いいや、右にも左にもいない。もちろん前にも。
いないことはないと家族と友だちは言うだろう。
わかりあえない。
それは彼らであって我らではないから。
他人は他人でしかない。
わかりあえることはあるかもしれないが理解し合えることはない。
自分ではない誰かに自分はなれない。誰かに救ってほしいと願いながら、もう無理だと泣き続けてる。
そんな僕に残されてるのはなんだろうか。
愛情も友情も重い。ただひたすらに負の感情が巻き起こる。それは突風のようで吹雪のようなものだ。
勝てない。負けてしまう。
でも、それだけじゃだめなんだ。その先に進まなければいけない。自分という自我をコントロールしなくちゃいけない。
そんな思考を無限に繰り広げてる。終わりはない。
終わりがあるというのであれば、おそらく進化という言葉が正しい。
進むということはもはや自分ではない他人への変貌。それは個性の欠如。感情の終わりを意味する。
新しい自分というのは結局その通りなのだ。犠牲なき向上などはない。誰もがこんなはずではない何かに追われ、生きてる。誰かのせいにするのは違う。
だったら、生きなければいい。死んでしまえばいい。
そう話すと、家族は目が腫れるほど泣いた。
やめて、死んでほしくないと願った。
僕はどうしたらいいのだろうか。
生きていいのだろうか。
この先を望んでいいのだろうか。
わからない。答えは見つからない。応えもない。
そうしてクズはいつまでもクズをやめられなかった。
クズの独白 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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