14話 お仕事
・8月24日・ 朝 ……冒険者ギルド……
朝になり、俺は仕事を探すべく冒険者ギルドに向かった。
じつはもう王様に会うための予約は朝早く起きてしてきた。
冒険者ギルドの隣にある役所で予約をするのだが、王様に会える確率というのはとても低いらしく、実際に会えた人は1割にも満たないんだとか。
どうやらみんな保留にされてしまうらしい。
王様に会えなかったらどうしようかな
まぁいい、そういうのは後で考えるか。
とりあえず仕事だ。
この世界での仕事やアルバイト関係というのは大きく分けて2種類あって、冒険者とそれ以外のものに分類される。
冒険者は戦闘や素材集めなどの依頼をこなす仕事、それ以外は俺の世界とあまり変わらない。
引っ越しの手伝いとか、子供の世話をするとかそんなもんだ。
(冒険者! かっこよくない?)
アリスにとって冒険者は本でしか見たことないからな、憧れがあるのだろう。
(残念ながら今回冒険者はやらない、強くなりたいけど、今はお金だ。とりあえず溜まってきて、余裕ができたらやってみようか)
(そうね、楽しみね!)
俺は小さい子の面倒を見るアルバイトを選ぶことにした。
***
「おにいちゃんはなんで、そんなに魔力がないの?」
と、純粋な目でこちらを見てくるのはキリエちゃん
「それはこのおじさんが弱いからだよ!」
と、子供特有の生意気さを持つアランくん
って、おじさんではないんだが
「アラン、失礼だよ。お兄さんが困ってるじゃないか」
と、この中では一番まともそうなブレインくん
全員6.7歳で友達同士らしい。
今日はこの子達の世話というわけだが……
今日はこの子供3人とこの子達の親の中で空いている人1人で図書館に行く予定だったらしい。
だがその親の1人が体調不良、他の親は同伴できない、子供達は泣き喚く。図書館自体には保護者同伴でないとダメらしい。
ということでアルバイトという形にしたらしい。
たったこれだけで銀貨2枚もくれるらしい。
いいのだろうか、楽な仕事だ。
それに図書館には行っておきたかった。
この世界のこと、この世界に対する俺の世界のこと、そして魔族のこと、王様に会うまででも調べられるものは調べておかなきゃいけないな
「おじさん! はやく!」
「おじさんじゃねぇよ!」
「ははは! 怒ったーー!!」
まぁ……久々に息抜きができそうだ
(おじさんだってね……ふふふ)
と、アリス……
アリスにもおじさんと言われたら俺、泣くぞ?
図書館に行く道中、子供達は「あれ食べたい!」「あれみていい?」と、とてもはしゃいでいる。
目を離すとすぐ迷子になりそうなくらいに
「買うから買うから、落ち着け」
資金として6枚ほど銀貨はもらっている。
「これでおやつとかを買ってね」と、渡されたので程よく使わせてもらおう。
行く途中の公園で子供達とアイスを食べている。
俺は食べないつもりだったのだが、子供達が俺にも食べて欲しいと言うのだ。
まぁ俺もアイスは好きだ。いただこう。
(アイス、初めて食べたけど、美味しい! でも冷たいからもう少しゆっくり食べて!)
(わかったよ)
ゆっくり食べるついでだ、俺は子供達とコミュニケーションをとってみることにする。
「みんなはよく一緒に遊ぶの?」
「あ、ちょうちょだぁ」
「それくらいわかれよ、おじさん!」
「お兄さんでしょ、アラン……」
すごい誰も答えてくれない……
キリエちゃんはいわゆる不思議ちゃんで、アランくんは見たまんまの生意気な悪ガキ、ブレインくんは真面目だけどアランくんの面倒を見てるからプラマイゼロみたいになっている。
まぁ今日だけの関係だ、そんな仲良くなる必要もないだろう。
***
図書館に着いたが……でかい!
そして広い!
ここは、城に近いからな流石に豪華だ。
前ニュースで見たオーストリア国立図書館ってところみたいな感じだ。
天井がとてつもなく高い。
(おおお、お兄さん!!! 何ここすごい!!!高い!綺麗!)
アリスも喜んでるな、来てよかった。
流石に俺もこんなの見ればテンションも上がる。
見てるだけで、何日もいられそうだ。
「入場料はこちらです」
あぁ、そっか入場料がいるんだ
えぇと、子供が銅貨2枚で、大人が銅貨4枚か
……今更だが銀貨1枚でどうか何枚分なのだろう
あぁ、少しでも調べておけばよかった
仕方ない、試してみよう
「銀貨1枚で平気ですか?」
「はい。ちょうどお預かりします。マナーを守ってお静かにお願いしますね」
なるほど、銅貨10枚で銀貨1枚らしい。
なら銀貨10枚で金貨1枚なのだろうか、まぁそこは今度調べよう……
「よし、みんなこのテーブルで読むことにしようか。」
「わかった! 本探してくる!」
と、キリエちゃんはとてとて歩いていく、本が好きなのだろうか
その後をブレインくんとアランくんも追っていく。
俺も本を探そう!……と思ったが子供達が迷子になるのも困るので、子供達の本を決めてから俺も本を探すことにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます