第17話我慢出来まません!

「カレン、私はやっと本当の愛に気づいたんだ」


アルファードが熱い瞳で、私に言ってきた。


えーと、これ最近聞いた言葉だよね。夢ですか?


そして、なにをいっているんだ??


隣にはちゃんとシルビアがいる。


アルファードの部屋に呼ばれた。前回と少し違うのは、シルビアが悲しそうな顔をしていて、2人の距離も離れている。それと宰相様とお父様がいないと言うことだ。


解消してからちょうどひと月たった週末、また、王宮から使いがやってきて、私にはアルファードから、お父様にはハリアー様から王宮に来るように、と伝えられ、やってきた。


どうも、用事はそれぞれ違うようだったので、お父様はハリアー様の元へ、私はアルファードの部屋へ通されたら、この一言だ。


聞き間違い??


「何のことを言ってるの?」


確認の為聞いてみた。


「私にはやはり、カレンしかいないと、気づいたんだ」


いつもと変わらない大好きだった優しい微笑みを私に向ける。今でも少し胸が痛くなる。


「ごめんなさい、言っている意味が分からない。あの時宰相様の前で、本当の愛を見つけたんだ、とシルビアと見つめ合い、言ったよね?それは記録して残るもので簡単には覆せないわ」


あの幸せそうな2人にとても、辛くてとても、泣いた。


それも、あれからたったひと月しか経ってない。確かにそのひと月で、シルビアには無理だろうな、と思える節は沢山見えたし、アルファードの顔が少しずつ曇ってきたけど、愛があれば乗り越えられるでしょう、とあたたかく見守ってきた。


結果これ???いや、さすがに早いでしょう。


「あの時はそうだったんだ」


しゅんと項垂れ申し訳なさそうにするが、すみません、もう、そんな顔をされても何とも思わない。


というか、苛苛してきた。


「あの、教えて貰えるなら、シルビアのどこを好きなったの?」


あの時、急にシルビアが大事に思えた、と言われた、その、理由を知りたいとずっと思っていたいた。今更聞いてもアルファードに戻る事はないが、私になにが足りなかったかしりたい。


「シルビアが、私がいつも努力し、頑張って素敵ですわ、と言ってくれたのだ。そんな言葉に喜んでしまったのだ」


とても、簡単な言葉だけど、とても納得した。


「今考えてみれば、そんな言葉言われなくてもカレンは言っていたはずなんだ。それを私は気づかず、まるで初めて言われた言葉に聞こえ舞い上がってしまい、愛だと勘違いしてしまった。いつだってカレンは私の側で私を助け、私を思い、気遣ってくれたのを、当たり前すぎて、愚かにも忘れていた。本当の愛はカレンにあったのに」


酷いいいようだ。隣にいるシルビアが、ますます青い顔になり震え出した。


アルファードは後悔しているという顔で、私に近づいできたが、首を振った。


「いいえ、シルビアは間違ってないわ。だって、私1度も、頑張って素敵ですわね、なんて言ったこともないし、絶対に言わないわ」


自分でも驚く程はっきりと言った。これまで、どちらかと言うと、声も控え、目線もいつも下向きだった。アルファードは皇子だ。その婚約者として相応しく隣にいる為には、1歩下がり穏やかな雰囲気を持たなければいけない。


その私が迷いなく言ったので、怪訝そうに首を傾げた。


「・・・カレン?」


何を言っているんだと、少し笑ったが、いえいえ、言いませんよ。


言えませんよ。


「だって、あなたは全く頑張ってなかったし、頑張ろうとしなかった。だから、言うわけないじゃない」


私が甘やかしていたのかもしれないけれども、離れてよくわかった。


この人は出来ない、と思ったらすぐに諦めた。何度か注意したが直そうとしなかった。そんな姿を何年も見てて、よく頑張ってるわ、なんて言うわけがない。


「シルビアの方があなたの事をよくみているわ。あなたの頑張ってる姿を見つけてくれたんですもの。良かったね。私だったら絶対に見つけられないわ。それこそ本当の愛だわ」


「怒ってるんだね。私が気の迷いで他の女性に心を移したのを」


何を言っているんだか、逆に気持ち悪くなり腹が立ってきた。


なんでこんな人好きだったんだろう?私もそばにいすぎて気づかなかったんだ。


それと、これっぽっちもアルファードの言葉に動かない自分に確信を持った。


「怒ってないわ。解消されて喜んでいるわ。あのままあなたの側にいたら私、永遠にあなたを助けなきゃいけなかった」


「カレン、すまない。そんなに怒ってるんだね」


こんな、人の話を聞かない人だったのか。


「何度も言うようだけど、私よりシルビアがあなたには似合っているわ。シルビアは、毎日あなたの為に頑張っているわよ。例えば、お昼のお弁当も、きちんと味見のためにもう一つ準備して、味見してあなたに出してるのよ。ねえ、シルビア」


授業の休憩中によく落としながら食べていたわ。


「え!?だって、たり、いいえ、当たり前でしょ!皇子に食べさせるんだから毒味しないと」


「何故?自分でつくっていたんだろう?それにそんなに食べてたのか?お昼も一緒にたべてたよね?」


「お弁当が間に合わくて、急いで召使いが持ってきてたけど、全部あなたの為よ」


「え?自分で作ってたのでは無いのか?」


「あら?召使いのヴィッツが作ってるて言ってたわよ」


「な、何言ってるのよ!私が作ったのよ!」


慌てて言ってきた。


「あ、ごめんなさい。そういうことになってたわね」


知ってたけど、少しやり返させて下さい。


「それに、あなたについていけるように大股で歩いていたでしょ?あなた人のこと考えずにさっさと歩いていくけど、シルビアはちゃんとついていけてるわ。まあ、それを隠すためにスカートが長いけど、大丈夫。あなたの誕生日には、足を綺麗に出せるように努力してくれるわ」


「カレンが私の横にいれば問題ないだろ?」


なんだか怖くなってきた。そして、よくわかった。


無理だ、話が合わない。


「アルファード様!私を愛してると言ってくれたではありませんか!?」


シルビアが必死な顔で、アルファードの腕を掴む。


なんだか可哀相になってきた。第一これは人として有り得ない。確かに他の人を好きになるのは人間として有り得る。でも、アルファードは皇子なのだ。それならシルビアを囲む1人にすればいい。だが、愛した、と言った上に、宰相様まで、呼んだということは、それはもう妃に選んだ、という事。事の重大さが本当に分かってない。


「私は本当の愛に気づいたんだ」


真剣な顔で言われ、だめだ、冷静にならないと、と深呼吸した。


こんなにバカだったとは!


言ってはいけない罵倒を浴びせてしまさそうだ。


たとえここには私たち3人しかいなくても、皇子なのだ!


下手な事を言えば自分だけでなく、お父様にも、家にも迷惑がかかる。


「カレンしかいないんだ」


また言うその言葉に、もう限界だった!


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