第16章

 翌日、ED治療薬を置いている医院をネットで検索し、光彦は会社帰りにある泌尿器科に立ち寄った。

 診察室に通されると、光彦と同年配の医師が問診票を見るなり、「45歳……その歳で、インポテンツとは早すぎるな」そう呟いた。 

 それから顎を上げて、光彦の方を向いて「喫煙はしますか?」と問うた。

「いいえ、以前はヘビースモーカーでしたが、10年くらい前に禁煙してからは吸っていません」

「それでは若い頃の喫煙のせいかな?」

 医師はまた独り言のように呟くと、今度は矢継ぎ早に質問を始めた。

「いつからインポテンツになりましたか?」

「既往症はありませんか?」

「飲酒はしますか?」

「コーヒーなどの嗜好品は飲みますか?」

「食事は脂っこいものを好みますか?」

「ストレスの多い仕事ですか?」

「奥さんとは週何回してるの?」

「自慰はしますか?」

 ただの問診で、自分の思い過ごしかもしれないが、光彦は見下されているような感じがしてならなかった。

 上から目線で威圧的に質問してくるのを羞恥で汗ばみながら、たどたどしく答えた。

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