第7章

 コンビニで弁当を買ってアパートに帰ると、りんの姿はなかった。

 もしかしたらまだいるのではないかと淡い期待をしていたのだが、やはりあり得なかったか、と少しがっかりしながら、まず風呂に入ることにした。

 風呂に入ると、りんの下着姿が思い出された。

 思えば、自分の生活は単調なものだ。毎日、仕事に行き、家に戻って寝るだけの生活だ。特に喜ぶことも楽しいことも心動かされることもなく、時間に流されるようにただ毎日を過ごしている。

 そんな自分のモノクロームの世界に、鮮やかな色彩をりんは持たらしてくれた。浮き立つような心にさせてくれた。

 無意識の内に溜息をつきながら、光彦は背中を洗っていた。


 風呂から出て、コンビニ弁当を温めようとした。と、その時、チャイムがなった。

 光彦ははっとして顔を上げ、慌ててドアを開けに飛んでいく。

 予想したように、りんが立っていた。

「寮がすっごく汚くて嫌なので、わがまま言いますが、もうしばらく泊めてくれませんか?」

 りんは深く頭を下げた。

 「もちろん。どうぞ」

光彦は微笑みながら、ただそれだけしか言えなかったが、心の中では、りんのように「やったー!嬉しい!」と叫んで万歳していた。

 

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