第3章

 タクシーが停まり、「君はこのまま乗って行ったらいい」と言ってお金を渡そうとしたら、

「私もここでいいです。もう近いので、歩きます」

 そう言って、女も降りた。

「じゃあ」

 光夫は女と別れ、コンビニに入った。ビールとおつまみと明日の朝食のためのパンを買う。

 

 店を出ると、女の姿はなかった。

 光彦はなぜだか彼女がその辺りで待っているような気がしていた。だから、いなくなっていることに少し落胆した。

 そんな訳ないわな、そう呟きながら、家に向かった。


 二階立てのアパートの一階の部屋に光彦は住んでいる。

 ドアを開け、照明のスイッチを入れる。それから靴を脱いで玄関の床に上がった。と、その時、ドアがノックされた。

 こんな時間に一体誰が?と不審に思いながら、そろそろとドアを開ける。

 彼女が立っていた。

「今晩、泊めてください。お願いします」

 深く頭を下げた。

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