オルタギア:持たざる者の牙

さてさて、話は戻って悪魔のコミュニティ。ここでは悪魔達の

悪魔達による悪魔の為のインディペンデントな社会活動の為に

人間様の政策に楯突かない様に上手い事生きていく。

そんなバランスを維持する為にも悪魔探偵たちのスキルは必須なのだ。


「ですけど、情報が足らないと言うか、まぁ下調べなどを・・・」


先ほどの作業着で対応していたこの地蜂巣ビーハイヴの長である

勿忘草わすれなぐさ・ヴィクティム・まもると言う初老の悪魔さんも

ちょっとだけ眉をしかめるが・・・


「あなた方も魔界の技術が人間の世界に流れてるのは知ってるだろう?」


どうにもおかしいのだ。例えば魔法少女が違法少女になるほど戦ったり

いろんなバケモンがウヨウヨしてる中でもどういうワケか人間の世界は平和。

それにはちゃんと理由があるのだ。


悪魔が異空間を作って人間にバレない様に戦う様に

地蜂巣ビーハイヴの奥深くにはデモンズジェネレーターと呼ばれる

時空転送装置が存在し、人間達に危害が及ばない様に

それでいて、魔獣狩りを行う者を雇用し、斡旋してるのであった。


いわばこの拠点が均衡を保っている砦なのだ。


「しかし、流れ者は悪魔だけでは無い。人間にもそういう者は居る。」


彼はとある小型の機械を取り出した。


機械と蟹を弄るのが大好きな芥子河原でも観た事の無い代物であった。


「コレ、何なんだぜ?」


「一般には・・・一部にしか知られてないがオルタギアと呼ばれている。いわば変身アイテムだな。魔改装甲シェディムギアの模倣品ってトコだ。」


どっかの変身ヒーローの様に力に適応する者がパワーアップ出来るって寸法の代物。


本来平和な世界には抑止力となる以外の兵器なんぞ必要としない。

しかし、人体を進化させてパワーアップさせる代物・・・

これまでの魔法少女パワーの開発等を経て年季が入った技術体系が

持たざる者の力となっていく。そうすればバランスは嫌でも崩れるのだ。


「大まかに言えば天の五大元素の王の力の影響を受けた者。

 この世に湧き出る魔獣を狩る事を生業とする君たちの様な者。

 それらを利用する勢力。色々あるワケだが・・・」


「今、そういうので何か困りごとでもあるんですか?」


「人間が力を手に入れている状況で、人間界のブラックマーケットに

 変動が生じている・・・いずれはそういう者に出くわすかも知れないな。」


芥子河原はオルタギアを指先から魔力を通してみたりしてるが

小気味のいいテンポでギミックが展開する。


「んー。なるほどー・・・」


「ヴェっさん。やっぱりすごいモノなんですか?」


「分からん!だから面白いのだが・・・」


「元からこのオルタギアは君たちに授ける予定だった。

 釘をさす様で悪いが、必要だと思った人に与えなさい。」


ノベルティと言う形で複数個この変身ツールを受け取って

専用の鞄に詰め込んだ芥子河原は

良い貰い物をした気分になったのと同時に

人間には過ぎた代物かも知れないという感覚が入り混じっていた・・・


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