Session5-13 決意

GM/アイリス・ハーヴェス:暫くして、アイリスが口を開く。

「……兄様は、ずっと後悔なさってましたわ。あなたに真実を告げられなかったことも。あなたの許嫁、ジュリアン・フォン・リーンブルクを、自分の判断が原因で死なせてしまったことも」

シンカイ:「──陛下が、ジュリアンの背を圧した事などと。ジュリアンにとっても、わたくしにとっても誉れに御座います。どんな結びであったとしても……。わたくしに口を開かれなかったのも、たくしの宮廷社会内での立場を鑑みれば当然に御座います、何も気に病まれる事など……!」

GM/アイリス・ハーヴェス:「シンカイ……」

シンカイ:「父上も、ジュリアンが召されたのも……母上のことも、すべて、すべては……! 

わたくしが、力無きナイトメアであっただけの事! わたくし自身の弱さによるものです!」

──己への憤りで、震える肩と声、目と……涙。


GM/アイリス・ハーヴェス:暫く目を伏せていたアイリスは。礼をして一歩下がる。

「……私が兄様から頼まれたのは、この手紙を渡すことだけよ。……邪魔をしたわね。」そっけなく、しかしどこか震える声で言い、その場を去ろうとする。

シンカイ:「お待ち下さい、姫殿下。いくつか言う事、お伝えせねばならぬ事。そして不敬ながら、お伝えして頂きたい事がございます」 手紙を懐に仕舞い込み、貌を上げて姫と目を合わせる。

GM/アイリス・ハーヴェス:「……いいわ。聞きましょう」


シンカイ:「……今、お母様の待つ屋敷には帰ってはならないのですね?」……言う前に漏れ出る、まずひとつの弱音。寂しさ。

GM/アイリス・ハーヴェス:「……帰ってはならない、とは言わないわ。けれど、リスクを伴う行為ではあるでしょうね。あなたがハーヴェスを出て行った後。リーンブルク、クロンヘイム両家の当主を失い、現在はリーンブルクの次男が、仮の当主として引き継いではいますが……それを快く思わない者、その立場を狙う者もいる」

シンカイ:そりゃーーー出て行ったせいでかけた迷惑もありますよねーーー。どうすんだよわたくし、ここで離脱イベントかー???

GM/アイリス・ハーヴェス:「『母親を捨て逃げて行った臆病者』とあなたを評価し、両家を陥れようとする者も少なくはありません……もっとも。この国に残っていたところで、どのみちあなたという弱みは使われたでしょうけれど。"気をつけること"ね。私はそれしか言えないわ」


シンカイ:「畏まりました。ではまず、お伝えすべき事から」すぅ、と目を閉じて。「『アルトゥール・ブルー』は生きています」

イスデス:お、それここで言うのね。

オルフ:げほっ。急に……知らない人の、知らない人の!! 名前が出てむせる。

シュシュ:イッタイナニモノナンダ。

シンカイ:「ですが……あくまで彼は冒険者オルフェウス。どうか……御内密に。それが彼の決心なれば」

GM/アイリス・ハーヴェス:「そう。では、伝えておきます」オルフに目線を向けて言う。

オルフ:急に背筋に震えが走った気がした。海辺の夜は冷えるな……。

GM/ライズ:「オルフ? 大丈夫? オイラあったかいよ?」

シュシュ:「樽の中も暖かいですよ」

オルフ:「…平気だ。あとシュシュはいい加減樽から出とけ」PLはもふもふしたい。

シュシュ:「えと……あの方が去ったあとに……」

イスデス:これ転げた樽から急にぴょこっと顔だけ出して「樽の中は暖かいですよ!」っていってるシュシュちゃんカワイイね。

オルフ:わかる。

アルクトス:一応オルフ君も貴族は貴族のひとりか。

オルフ:当然の如く長男ではなく相続権も無いし、ノーブルとしての教育を受けない程度の地位だけどね! ぶっちゃけ家での立ち位置母親の高級ペットだよね。


シンカイ:「……そして、恐れ多くも陛下にお伝え頂きたく存じ上げます。『全てはわたくしの未熟が成した事。己が手で必ず払拭せしめるが故、陛下が気に病まれる必要は有り難くも、有りません』と」


GM/アイリス・ハーヴェス:「……まったく、あなたも兄様も頑固ね」アイリス姫は、やれやれと言ったように眉をしかめる。

シンカイ:「陛下におかれましては、先王陛下の脈々たる血によるものでしょうが。わたくしに際しましては、それが老師アジムの教えでありますが故に」余裕を見せるためにここでくすりと笑ってみせる。

GM/アイリス・ハーヴェス:「では、それも伝えておくわ」釣られて笑う。「精進なさい。あなたがそこへ居る限り、私たちは切っても切れない関係なのだから」

アイリスはそうして、漁師たちのもとへ歩いていく。しばらく漁師たちと談笑を交わすと、護衛の兵士たちとともに王城へ戻っていくぞ。

シンカイ:「有り難き……」見えなくなるまで膝をついて見送った後、皆の元に戻ります。


GM:ちなみにグランゼールのレナ姫は、冒険者として大成したいがために密かに冒険者に混じって冒険してるいけない子だよ。

シュシュ:かわいいね。

アルクトス:とんでもないよな……。

オルフ:やばいですね。


シュシュ:「も、もう大丈夫ですかー?」ごとごとと樽が揺れる。

GM/ライズ:「大丈夫だよーっ!」

イスデス:「(よーし、行ったな?)」

GM/アリス・カーバイド:「なんでみんな隠れてんの……人見知りで引きこもりの天才であるボクでさえ隠れなかったのに!!」

アルクトス:「話は終わったか?」戻ってくる。

シンカイ:「……皆様。わたくしの出奔によって、遺された母上や…わたくしの夫の家にまでも、迷惑がかかっているとの事でした。詳しくは宴が終わった後に船の上にて、此処では少し……」

オルフ:「……そうか」

イスデス:「(あんまりいい話でもなさそうだったからねぇ)」

シンカイ:「はい。……わたくしが家に寄るわけには、少々いかないようです」母に会えない寂しげな笑い。「不徳ですわ……アルクトス様にとってはネタかしら?」

アルクトス:「まあ、おまえがどういう道を行くのかには少し興味はある」

オルフ:「じゃあ、今日の宿を確保しないとな。……この時間から行って部屋は開いてるか?」

GM/漁師:「ハハハ、おう。なんせ地方最大の貿易街だぜ? 宿なんかありすぎて困ってるぐれぇだ。あとで案内してやる。まあ安心しろ」

シンカイ:「ありがとうございます。……あ、それと、今の内からでもレターセットと花束を買える場所がないかもお聞きしたいのですが」

GM/漁師&女性:「おう、任せな! 雑貨屋なんて腐るほどあって困ってるぐれぇだ!」「別に困っちゃいないけどねぇ」姫の登場により、少し抑えられていた宴の喧騒も、また戻ってくるだろう。

オルフ:そういえばオルフ君なんか君王族に対して肯定的だな……。

アルクトス:いずれお前らと同じ位置に立つから待ってろよぐへへってことでしょ。

イスデス:ぐへへ。

シュシュ:コネは取り得。

アルクトス:なお、ほぼ全員から逃げた模様。


そうしてまた束の間、冒険者たちは料理や酒(あるいはノンアルコールドリンク)を振るまわれ、楽しいひとときを過ごします。

……気づけば、宿に居る時はそろそろ休みに入る時間。

漁師たちも、冒険者たちに宿の地図や案内を持ってくると言って席を外します。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る