Session2-7 3人の事情
冒険者たちが上機嫌に笑うイザムナについていけば、コテージのすぐ側の炊き出し場で、野菜が入ったシチューとパンを配ってくれました。
もちろん、お宿亭で提供されるパンよりも、質が大きく落ちますし、シチューに入っている野菜もやや少なく感じられますが、一般人が生活していくには十分な栄養素やカロリーが取れる食事です。
問題の"貧民街"上がり3人組も、冒険者たちのおかげか作業を頑張って進めたようで、冒険者たちと一緒に食事を採ることになります。
GM/ピピン:「作業終わったぜ! やる気出してくれてありがとな、にーちゃんたち!」
イスデス「皆さん真面目に働いていてくれたようで、なにより」
オルフ:「ああ。この調子で5日間このままなら良いんだけどな」
シュシュ:端の席で少し耳を揺らしながら黙々と。
GM/イザムナ:「ずっとこのまま作業がはかどればいいんだけどね……どうだい冒険者たち、ここでずっと一緒に働くっていうのは?」口調を砕き冗談めかして、イザムナが言う。
アルクトス:「いや、遠慮しておこう」
イスデス:「もう少し後、100年経ったぐらいでなら考えておきましょう」
シンカイ:「シチューと同じく美味しいお誘いですが、わたくし冒険者になったのは確固たる目的がありまして」ふふっと笑いながら。
オルフ:「俺も生憎、目指してるものがある」
GM/ディック:では、ディックがオルフ達の言葉を聞いて、獣の耳をびくっとさせる。
「……そ、そうだよな。やっぱ冒険者ってさ、やりたいことがあってなったわけだから……やっぱさ、夢とか追いたいんだよな。あんたたちも」
アルクトス:「この中で夢を追ってるのはそっちのやつくらいではないか……?」オルフを見ながら。
オルフ:「夢って程綺麗でも崇高でも無いが。冒険者ってあり方以外じゃ目指せないものはある」そう、金と力と名声を一気に手に入れられるジョブは……!
GM/ディック:「……あー、……〈雀のお宿亭〉だから、そっか。普通とは違うのか?」
シュシュ:「……お宿亭をご存じで……?」
GM/ディック:「うん。ちょっとした有名場所だよ、あそこ。幻獣がマスターってところも、蛮族がいるってことも……あ、あと食事がうまいってことも。けど、迷宮には挑戦してないって言ってたっけ」
オルフ:「まあ、全部正しいな」
GM/ディック:「その……あんたは、夢があるのか?」オルフを見て問うよ。アルクトスが指したので、少し気になったらしい。
もとより、彼らは夢を追ってグランゼールへやってきたのだ。
アルクトス:同じく夢を追う者同士、共通点が欲しいのだろうか。
オルフ:「俺は見ての通りコレだ」髪をかき上げ、角を露わにする。もとより隠してはいないのでバレてはいただろう。
GM/ピピン:「ナイトメアだっけか。ちょっとかっこいいかも……」きらきら。
オルフ:「碌なもんじゃねぇよ。俺は確固たる自分が欲しいんだ。角を隠してこそこそ生きるんじゃなく、誰の事も気にせず肩で風切って歩けるように。そうなるためには色々いるだろ」
シンカイ:「オルフ……?」心配げにちょっと見上げます。
オルフ:「そこに至るために力も、金も、名声も全部手に入る冒険者になった。それだけだ。……何でこんな喋ってんだ俺……?」
GM/ディック:「いや、その……なんかごめんな。でもそれ……すげぇと思う。そんなこと、考えたこともなかった」
オルフ:よく見るとシチューに香り付けで入れたワインがちょっと蒸発していなかった部分があったのかもしれません。つまり口が軽くなっています。
GM:1滴の酒に負ける男。
イスデス:「ふふふ、いいねぇ。そういう話が聞きたかったんだ。もっと聞かせておくれよ」にやにやと笑いながらシチューを呷ります。
シュシュ:「……そして私をそのために利用"していただいている"。……夢かどうかはわかりませんが、目指すところも同じなのかもしれませんね」
オルフ:「蔑まれるのも嫌いだが同情されるのも気に喰わねぇ、俺はもっと、普通に、一緒に……」かくん、と頭が落ちる。どうやら一瞬意識が落ちたらしい。
シンカイ:すかさずやんわりとオルフを膝枕します。
GM/ディック:「っ……、……ごちそうさま。」ディックはがたん、と席を立ち、逃
げるように自室のあるコテージに入っていくだろう。
シンカイ:「あ、お待ちになって?」
GM/ディック:「な……なんだよ。今日は疲れたんだ」シンカイの言葉に立ち止まるよ。
シンカイ:「──この男を御存知ありませんか? 我が師、老師アジム・マフトを」本日のノルマ。
アルクトス:それ???(笑)
シュシュ:ノルマは大事。
GM/ディック:えー、拍子抜けしたのか、素っ頓狂な声を上げてその絵を見ますよ。
シンカイ:「いえ……グランゼールに暮らしている方ならご存知かと思って。グランゼールに縁のある方だとお聞きしましたから」
GM/ディック:「……いや、知らない……と思う。グランゼールに暮らしてたって言っても、そんな長い間じゃない。ほとんど大迷宮を探索してただけ。じゃあ、それがあんたの……師匠か」
シンカイ:「夢の代わりにわたくしが追う者です。師にして恩師にして仇。故に探し、突き止め、並び、問うために」
シュシュ:「…シンカイ様」
GM/ディック:「……強いんだな」
シンカイ:「それだけです。強い、だけでは何もできませぬから……」
GM:ディックはそれから、自室へ篭ってしまうだろう。
イスデス:「おやすみも聞かずに行ってしまったか。ふむ」
アルクトス:「何で初日からこんなヘビーな話になってるんだ」
シュシュ:「……ディック様。物憂げな表情をしていらっしゃいましたね」
オルフ:……素直に話す言い訳で泥酔してしまった結果、話を聞けない。どうしよう。
イスデス:サニティ! しかし、酒は抜けなかった。
オルフ:きゅあぽいずん、くれ。
イスデス:ごめん、覚えていない。
アルクトス:後でメモを取っておこう。作家的に。
GM/ガストン:黙っていたガストンが口を開く。「悪いな。あいつも多分、昔のことを引きずってるんだ」
シンカイ:「それは癪に障る事を言ってしまったでしょうか。……後程改めて謝罪いたしますが、今は」この場でぺこり。
GM/ガストン:「いいや、いいのさ。俺たちだってそうだ。けど、それをいつまでも引きずってたら、何もできねぇからな」
GM/ピピン:「……もう、人を傷つけたくはないもんねー」
シュシュ:「もう、とは……? ……人を傷つけるような何かがあったのですか?」
イスデス:「何があったのか。聞かせてもらえればと思います」
GM/ピピン:「うん。おれたちは迷宮に挑んで、一文無しになって──」
GM/ガストン:「ピピン……いや、いいか」
最初はガストンが遮ろうとするも、首を振り、そのままピピンに話を続けさせます。
彼ら3人は迷宮で失敗し、借金を背負って貧民街に身を落としました。
食べ物が無くなると、人から無理やり金品や食物を奪って食いつなぐ生活。
……ですが、その罪はすべてディックが被ってくれていた、といいます。
最終的には借金取りに見つかり、そのカタにと非合法組織に無理やり入れられ、
下っ端として汚れ仕事を任されそうになっていましたが、そんな中出会ったイザムナが、『難民受け入れ』として借金を請け負い、農地開拓の仕事に誘ってくれたと。
ジャンくん(シュシュ):『そうか…彼一人が再起を諦めていたのも…』
オルフ:「……罪を引っ被るつもりか、後ろ暗い経歴の自分がいねぇ方が他は上手くやるだろうって腹積もりか」むくり。普段の2倍マシくらいで目付きが悪い状態で起き上がってくる。
イスデス:「ひどい話もあったものですね」同情するが、同時にまぁそんなところかとでもいうような乾いた声を出す。
GM:『非合法組織』については、見識判定9でどうぞ。
アルクトス:(ころころ)失敗。来たばっかりなので知りません。
シンカイ:(ころころ)おなじく。
オルフ:(ころころ)成功。関わりありそうだもんな……「非合法。そりゃ多分、遺跡ギルドだな」
シュシュ:(ころころ)「遺跡ギルド……貧民街にいたころに、小耳にはさんだことが……」
アルクトス:「ほう、そういう所があるのか」
GM:はい。『遺跡ギルド』は、表向きは、冒険者から迷宮の品を買い取る場所。だが、裏では闇市や娼館を運営し、非合法な活動を支援している……他の国で言う盗賊ギルドのようなものですね。
シュシュ:……多分働かされそうになったのもそこだな。
オルフ:じゃあ私、遺跡ギルドから商品(シュシュ)横取りじゃん。
アルクトス:これは恨まれますわ。
GM:おらぁ! ウチのシマで何さらしとんじゃ!(笑)
オルフ:蛮族と通じてた遺跡ギルドさんがよういいますなぁ!(笑)
GM/イザムナ:「犯罪に手を直接汚したのは、ディックだけと聞きます。……あの子は、責任感が強いんでしょう」
オルフ:「……くだらねぇ。一番大事なのは自分だろうに。」その自分を蔑ろにして2人を助けてどうするのか、と吐き捨てます。
シンカイ:「これ」ぺちんとオルフを叩く。
オルフ:「あんだよ」自分を犠牲にしてでも助けたい相手がいる、という事について少し考えつつ、叩かれたことに文句を言う。
GM/イザムナ:「あの子が上の空になってきたのも、ちょうど、蛮族の襲撃や"人さらい"の噂が立ってきた頃からなんです。……私はディックを"人さらい"だと疑ってはいません。ですが彼のことは少し、気にしておいてくれませんか」
GM/ガストン&ピピン:「……俺からも、頼む」「おれも! ディックなんか最近笑ってくれなくなっちゃってさ!」と、2人も頭を下げるだろう。
イスデス:「ええ、了解です。荒事になったときもお任せくださいな。仲間がなんとかしますのでね」
アルクトス:「仕事をして体力が残っていればな」
シュシュ:「……え、えっと……はい」他のみんなの意見に同調。
シンカイ:「わたくしの幼馴染が滅多な事を申して御免なさいね」
その上で勿論、と。
GM/ピピン:「いいのいいの。だって、ディックのことしんぱいしてくれてるんだもんな!」
オルフ:「別に心配してねぇわ」してる。
GM/ピピン:「またまたぁ~てれちゃってぇ」
オルフ:「もう弾かねぇ」
GM/ピピン:「それはやだぁ!!」
シュシュ:「ま、まあまあ……」
GM/イザムナ:「はっはっは。さて、私たちはそろそろお暇しますが……夜番のほう、よろしく頼みます。 彼らの事を含め、報酬はしっかり上乗せしておきますからね」
オルフ:「ああ、任せろ……ぐぅ……」こくりと頷いたと思ったら額を抑え始めました。
イスデス・テピ=ジュウエフ:「おっ、また寝てるよはっはっは。オルフくんは酒に弱いなぁ~」そういうイスデスも若干酔ってる。
GM/ガストン:「……大丈夫か?」
アルクトス:「(今日は駄目かもしれんな……)」
オルフ:頭痛を堪えつつも仕事は普通にこなしたそうです。がまんはとくい。
シュシュ:ご主人様、えらい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます