第7話 連載再開 日本語モノリンガルの白人ヒロイン
最近英会話スクールのクソYouTube広告で「日本人で英語を話せる人は全体の5%に満たないんです!」なんて言っているのを見ました。別に2chの創設者ひろゆき氏みたいに「それ御社の感想ですよね?」とか「ソースはなんですか?」とか聞く気はありません。ただ個人的な体感として、確かに十人中八~九人は日本語のモノリンガルなんだろうなと私も思います。
そこにもう一つある要因が重なってふと思いました。
「この前自然な金髪碧眼の白人ヒロインの描き方なんて創作論を書いたけど別に要らねんじゃね?」と。
こう私が感じたもう一つの要因とは、本章の表題にもある日本語モノリンガルの白人ヒロインの台頭です。
ほとんどが金髪と碧眼といった典型的な白人の特徴を備えているのですが、会話ができるのは日本語だけで、彼らの外見のルーツになっている国の言葉、英語やドイツ語やロシア語は一切話せないという設定です。
流石に純潔のドイツ人がドイツ語を話せないのは設定としてあり得ないと作者様も考えるのか、日本語モノリンガル白人ヒロインはハーフであるとされる場合が多いようです。「ハーフは白人なの?」とか「金髪は劣性遺伝子だから子世代では無理じゃね?」というツッコミはここでは置いておきましょう。少なくとも顔立ちだけならば芸能人のベッキーさんも白人寄りの顔立ちをしていますし、ブロンドに染め上げれば割と自然に出来上がるでしょう。
本題である、何故これまで述べてきな創作論なんて無くても良いと思ったのかに戻ります。良いと思った最大の理由はやはり日本語モノリンガルの日本人が日本人口の多数派であるからです。
四章では、低次元から高次元の観察は行えず、高次元から低次元が丸見えという風に説明しておりましたが、同次元同士での観察はどうであるのかについては触れていませんでした。この同次元同士の関係がモノリンガル同士の作者と読者の関係に近いと思うので今回は考察してみたいと思います。
まず二次元空間、つまり平面しか存在しない空間にある二次元体の図形同士に例えてみます。一つは正三角形、もう一つは正方形だとします。お互いに二次元体で高さの概念がない空間にいますから三角が隣にいる四角を見つめても視界に入るのは三角の一部である辺、つまり直線だけです。二次元空間内を四角さんが三角君の周りを回ると、きっと角度によって直線の長さが変わる様子が観察できるでしょう。四角さんはこの見る角度による線の長さの変化によって三角君の姿を想像までは出来ることになります。
(文章によるこの説明は正直難しかったので「説明へったクソやな~~」と思われた方は是非参考の科学チャンネルをご覧下さい。VAIENCEチャンネル 四次元空間に行ったらどうなるか? https://youtu.be/w7yjoqY-VdY)
また今回も回りくどくなりましたが、つまりはモノリンガルの読者からはせいぜい「日本語しか話せないドイツ人の女の子がいたら本当にこんな感じなのかなぁ」と想像するに留まるということです。ただし低次元から高次元に向けての無謀な観察とは異なって全く不可能と言うわけではありません。賢い人であれば角度によって変わる線の長さを計算して図形の正体を三次元的に想像することもできるでしょう。
ではもし日本人の欧米言語習得率が半分以上だったらどうなるか? 十人の読者の内五人が高次元から作品の言語学的なガバに気付けるようになり、結果として多くの「いや、仮に日本語しか話せなくても親父がドイツ人ならこんな性格に育たねぇよ」とのツッコミを作者が受けることになるでしょう。
しかし少なくともラノベ読者の間ではこのようなツッコミは起きておらず、読者達は「こんな金髪碧眼美少女いないだろうけどいたらいいよね。可愛いよね」とファンタジーとは分かりつつも受け入れられているのだと思います。このいたらいいよね。可愛いよねの部分の感情を感じられるかが、欧米言語も話せる日本人とモノリンガル日本人の差なのです。
結論として、現在はまだモノリンガル人口が多数派の日本においてはマーケットに合った設定ではあると思います。私はオタク気質を持ってはおりますが、これらの作品群を楽しめないことに関しては語学学習者として良かったと思っております。あ、もちろんこれは皮肉ですよ。
最後に白人ヒロインをモノリンガルにする作者のメリットとデメリットを挙げて終わりにします。
メリット:日本語だけで書けるから言語や文化を学ばないで楽できる
デメリット:作者が外国語を習得したら後できっと恥ずかしくなる
金髪碧眼にこだわるともうほぼネタ切れです。次回は日本社会は日本国民の大多数にモノリンガルのままでいてもらいたいというテーマで書こうかと思っておりますが、金髪碧眼ヒロインとは何の関係もなくなるので、メイン小説の俺は英語が嫌いだで教授に語らせるかもしれません。現在考え中です。
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