第4話ホムラとの出会い

 俺は問題を起こしている所に近づいていく。


「なあ、アンタ達。その子、迷惑してるけど?」


「え……?」


「あぁ!? 邪魔すんのか?」


「なんだよ、さっきのガキか。そんな綺麗な顔して冒険者登録ねぇ……舐めてるとタダじゃおかねえぞ?」


「ハハッ! 違いねえ! 女装して男でも引っ掛けた方が似合いそうだ!」


「……今、なんと言った……?」


「あぁ?何俯いてんだ?今更びびったか?」


「女みてーな顔してカッコつけるからだ……タタタタ——!?」


 無言で顔面にアイアンクローを決める。


「な、何すんだ!? このヤロー!」


 もう一人が殴りかかってくるが……。


「フンッ!」


 掴んでいる男を投げつける!


「「グハッ!?」」


 二人が重なり合って倒れこむ。


「お前達は禁句を言った……」


 俺は幼い頃から女に間違われた。

 母上に似たことを嫌だと思ったことはないが……。

 さすがに、男に告白されたりナンパされるのは勘弁してほしい……。


「ヒィ!?」


「わ、悪かった! なっ!?」


「わかったなら——消えろ」


「「はいっ!!」」


 入り口から二人が出て行った。


 ……少しやりすぎたか?

 あいつらのいう通り、俺もまだまだガキだな……。


「貴方……」


「ああ……大丈夫でしたか?」


 振り返りその子を間近で見て……驚く。

 わかってはいたが、随分と綺麗な子だ……。

 サイドテールに束ねた、サラサラの金髪。

 手足が長く、身長も170近くある。

 服の上からでもわかるスタイルの良さ。

 ……俺が母上で慣れてなかったらやばかったかも。


「誰が助けてくれと言いましたの?」


「はい?」


「あんなの、ワタクシ一人でどうとでもなりますわ! いいですか?決して助けてやったなんて思わないことですわ! フンッ!」


 そう言い残し、彼女は受付に向かっていった……。


「なんだあれ?」


 いや、お礼がほしくて助けたわけじゃないけど……。

 助けてもらったら礼を言うのが、人としての礼儀じゃないのか?

 いや、お節介だったかもしれないけど……モヤモヤする。


「貴方!」


「はい?」


 どうやら途中で立ち止まったようだ。


「名前はなんと言いますの!?」


「……ユウマ」


 危ない……つい、ミストルと名乗りそうになった。

 この女性が貴族に見えるものだから。


「ユウマですわね……覚えましたわ。ワタクシの名はホムラ-バ……ただのホムラですわ!」


 いや……今、家名を名乗ろうとしたよね?

 バ……なんだろう?

 やっぱり、見た目や言葉通りに貴族の女性か。

 ただ俺は次男故に、貴族にあまり詳しくないんだよなぁ。

 そういう集まりに出ることを禁止されていたし……。


「そ、そうか……」


「貴方も冒険者ですの!?」


「ああ、今日からな」


「ならば——覚えておきなさい! スーパールーキーと呼ばれることになるワタクシの名を! オーホッホッホー!」


「は、はぁ……」


 ホムラと名乗る女性は、再び受付へと向かっていった。


 ……一体なんだったのだろうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る