夢の島【島/来世/破壊】

昔々、死んだ人間が行くところは、浄土だの天国だのの前に「夢の島」でした。

夢の島において人間は、来世ではこうなりたいという思いが叶った姿で存在します。

しかし昔々の話ですから、ほとんどの願いは「生きていたい」というシンプルなものでした。

若くして死んだ魂たちは夢の島で安全な生活を送り、それから次の人生へと飛び立っていきました。


しかし人間の間に社会が生まれると、人々の願いは変化していきました。

多くの願いはこうです。

「人生をもう一度やりなおしたい」

そうした願いが夢の島で叶えられると、夢の島の人口はどんどんと減っていきました。


夢の島の人々は危機感を覚えました。

このままでは夢の島から人がいなくなってしまう。

夢の島から現世へ干渉し、物を破壊したり、時には人間を殺したりもしました。

それもこれも、幸せそうな現世の人間が羨ましかったのです。


かくして「うらめしや」と口にしながら現世に現れる彼らは、幽霊と呼ばれるようになりました。

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