イシュカン・コミュニケーション【赤/永遠/ゾウ】

「どうもガネーシャです」

と玄関に立っているのはゾウの頭が乗った小太りの男だった。

ドアを閉めようとしたが、ゾウ頭は隙間につま先を差し込んでくる。

「あれっ、ご存知ないですかね?ヒンドゥーの方では富と商売の神様って有名なんですけど・・・」

「知ってるけど別に用はないよ」

玄関での小競り合いは富の神に軍配があがった。

爪先ぶんの隙間から鼻をねじこんできやがった。

「ふぅ・・・・・・、まぁ、損はさせませんから・・・・・・へへ」

商売の神がこんな前時代的な営業スタイルで良いのだろうか。

「勘弁してくれ。僕は富に興味なんてない」


「富に興味がない人なんていませんよ」

そうだ。それが1番の問題だ。

人間は永遠に富を求め続けてしまう。

そして富を持った人間だけが更なる富を得ることになる。

「あの」

資本家と労働者の間の格差は広まるばかりだ。

そのため、資本家が好き勝手に富を集めないよう、労働力を全て社会が管理するべきだ。

「ちょっと」

そもそも現代は資本主義がのさばっているが、社会が十分に成熟した状態であれば

「失礼しました〜」


「待ちたまえ」

私はゾウ頭男の肩を捕まえる。

この富の神様とやらに我々の素晴らしき思想を教えてあげよう。

この赤い星の旗にかけて!!

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