パトモン・バトル!【しっぽ/保存/仲間】

パートナーモンスター、略してパトモン。

パトモンは百年以上前に発見された動物のカテゴリ。形は様々だが基本的には手のひらサイズ。

パートナーとなる人間を決めると、一生その人間のパートナーとして振る舞うのだ。

その愛くるしい見た目も相まって、今では世界人類の8割ほどがパトモンとパートナー関係にある。


「可愛いですね」

パトモン・スペース(パトモンを表に出して良い空間。会社のトイレ横などによくあり、パトモンを吸って癒されることができる)で、隣のスーツの男に声をかけられた。パトモン仲間だ。

僕もちょうど自分のパトモンを懐から出したところだった。

パトモン・マスター同士が出会ったら、お互いのパトモンに"可愛いですね"というのがマナー。かわいい可愛い。


「しかし、嫌な時代ですね」

ここ最近、パトモンを何故か憎む人間により、パトモンのしっぽを切られるという事件が多発しているのだ。

一説には、しっぽを大量に切り取って保存しているサイコパスだとか。


その夜、帰路を歩いていると突然、黒服の男が立ちはだかる。

「バトルだ!」

彼は突然懐からパトモンを取り出すと、それを僕にけしかけてきた!

懐から僕のパトモンが飛び出して応戦する。

昔はこういう風に戦わせていたこともあったらしい。パトモン・バトルだ!

こいつはきっと、しっぽ切りの犯人に違いない!


※※※


ターゲットはやはり錯乱しているようだ。

重度の"ホスト"。

パトモンに完全に支配されてしまっている。


パトモンは、長期に渡ってパートナーとなった人間と、文字通り一体化する。

まだこの事実に気づいている者は少ない。

寄生されたホストは、パトモンを守るための行動しかしなくなってしまうのだ。

そんなパトモンの弱点はしっぽ。しっぽを切って無害化するのが俺の仕事だ。

パトモンを倒せるのはパトモンだけ。

俺自身も寄生される恐怖に怯えながら、この仕事をこなしている。


ホストを倒し、パトモンのしっぽを切って戻してやる。

明日には正気に戻っているだろう。

俺は、パトモン・ハンター。

パラサイト・モンスター・ハンターだ。

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