（フランスの大統領が、スキャンダルで辞任した）

2022年9月。フランス。パリ。

「オルモンド・フランス大統領の辞任が、発表されました」ニュースが伝えていた。

「先週、オルモンド・フランス大統領に、現在の事実婚の妻以外に、愛人がいることが、リークされました。愛人の名前は、ジャンヌ・バロアで、パリ在住です。この愛人の話がリークされると、半年前まで、愛人であったという女性と、1年前まで、愛人であったという女性が名乗り出ています。この話の真偽の程は現在、調査中ですが、仮に事実であった場合、1年前までは、事実婚の妻以外に、2人の愛人を抱えていたことになります。このことは、問題であるとして、オルモンド大統領は、野党の追及を受けていました。今回の辞任の原因を、オルモンド大統領は、過去の行動に倫理的な配慮が不十分なところがあったためと説明しています。オルモンド大統領ははっきりした辞任の理由を述べてはいませんが、『倫理的な配慮が不十分』とは、愛人問題を指しているという解釈が今のところ一般的です」

もともと、フランスでは、恋愛関係は個人の問題であって、ビジネスとは独立した分野と考えられていた。また、事実婚のカップルも多く、結婚しているか否かにも関心は低かった。しかし、事実婚の妻以外に、同時並行で、複数の愛人を作っていたとなれば、話は別である。この場合は、許容される倫理の範囲を超えていた。