永遠い来渡(とわいらいと)
霊能者マッチングサイト「永遠い来渡」に依頼が舞い込んだのは今日の夜明け前のことだ。
虹京都三条駅から徒歩五分の民間宿泊施設に突発事案が生じたというのである。
詳細は伏せられたまま、「すぐ来てくれ」と切迫した内容だった。依頼主は物件の近隣住民。ギシギシと何かがたわむ音がするという。それも一度や二度ならず。
虹京都市の条例では民泊の当直者が常駐しているか、三分以内に到着できる場所に待機すると義務付けられている。
そこで住人の一人が怒鳴り込みに行ったところ、ただならぬ気配を感じたという。まず、呼べど叫べど反応がない。看板に記載されていた番号に電話してもつながらない。
しびれを切らして警察と消防に通報したが、けんもほろろな扱いを受けたという。
「ステイながみねは十年前に廃業したそうよ」
待ち行列最高位の生田あかしが仕事を受注し現場に到着した時、ちょっとしたどころではない騒ぎが起きていた。民泊オーナーの
民泊は平穏無事に稼働しており予約も満杯だというのだ。それが証拠に怪訝な表情で中国人が出入りしている。
「じゃあ、客を指導しろ!」
当然のごとく、住民はオーナーに詰め寄った。
「よわったなあ」
臼井が言うには今日明日の宿泊客は熱心なリピーターで虹京都を心底愛している。そんな上得意が秩序を乱して何のメリットがあるというのか。
「こっちは確かな証拠があるんだよ」
斜め向かいの住民が防犯カメラ映像を提示した。たしかに大木が至近距離でへし折れるような音がする。しかし、すぐ右隣りの監視カメラには小鳥のさえずりしか残っていない。
「何の嫌がらせですか?」
オーナーは眉をひそめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます