CHINK0

湊賀藁友

プロローグ タマを取られたと思ったら戻ってきたのだがタマは消失した。当然棒も。

「大学生ながら複数の女性と関係を持ち爛れた生活を送り続けて、最終的には刺されて死亡。……ここまで、間違いはありませんね?」

 死んだ筈がいつの間にか立っていた証言台のような場所に驚きはするものの、前方で俺の死を罪状さながら読み上げる裁判官のような服装をした十二歳ほどの少女から何故か目が離せないままで、俺は気が付けば自分の意思に関係なく「はい」と声を出していた。

 あぁ。ここはもしかして死後の世界とやらで、俺は今地獄行きか否かこうやって嘘のつけない状態で判断されているのだろうか。

「貴方のこれまでの行いは褒められたものではなく、死因そのものもその報いと言えるでしょう。

 このまま判断するのならば貴方は地獄逝きです」

 俺は悪いことはしてないのに地獄行きなのかぁ。そりゃまぁ、俺が刺されたことが俺のことを好いてくれている数人含む女性たちと交際関係にならないまま身体だけの関係を続けてきた報いなのは間違ってないけど、向こうだってそういう関係になる前に『付き合うことは出来ない』って言ったら了承してくれたのに。

 ……まぁそんなことを言っているからこんなことになったのかもしれないが、一人では満たされないのだ。仕方ない。

「__しかし他のいくつもの都合・善行を加味した結果、貴方に裁定を下すにはまだ判断材料が足りていないという結論に至りました」

 えっ。

「よって貴方にはこれから異世界に転生し、死亡した年齢から人生を再開していただきます」

 つまり執行猶予みたいなことか。

「ですが当然無償で、というわけには参りませんので、異世界にて勇者として魔王を倒してきていただきます。

 万が一にも裁定前に再び死亡することが無いよう、能力値は魔王を優に超えている状態にしておきますのでご安心ください。剣や魔法の使い方もしっかりと本能に刻み込んでおきます」

 話を聞く限りセフレの一人が好きだった漫画に多かった『異世界転生(転移?)』の流れのようだが、この贅沢なまでのサポートはあの子が優し過ぎるのか俺が優遇されているのかどっちなのだろう。とは言っても促された時以外は口を開くことが出来ないので、分かる日は来ないのだろうが。

「また、魔王討伐までは担保として貴方の大切なものを預からせていただきます。こちらは魔王討伐の暁に万全の状態で返還させていただきますので、心配なさらないでくださいね。」

 大切なもの……?

 預かられて困る物なんて何一つないけどな。

「……では、転移を開始しますね」

 結局最後まで疑問を口に出すことは許されないまま、俺は真っ白な光に包まれた。


 そしてどこかの草原に転移して失われた感覚に気付いた直後、俺は絶叫することとなる。


「お、おぉぉぉおおおおお、俺のち◯こがなくなってる!!!??!?!?!?!!??」

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