第126話 Sランク冒険者への昇格

「魔王軍四天王の報酬の話だ」


 ようやくか。

 前回、窓口の利用を優先的に回してもらった時に、金貨をバラまいた事が響いていて俺達は殆ど路銀がない。

 そのために、そろそろ纏まった報酬が欲しいところだ。


「――で、いくらだ?」

「まずは、カズマ君。ハイネ領の領主ヘイゼル様から、連絡がきている。君の莫大な借金を流石に払いきれないと――。約束と違うという話がきている。次に――」

「まだあるのか……。そもそも、俺の借金を背負うって約束だったのに、ヘイゼルはずいぶんと度量が狭いな」

「カズマさん、さすがに金貨2万5千枚は……、領主でも想定は出来ないと思いますよ?」


 ソフィアが突っ込みを入れてくる。

 さすがに25億円の肩代わりはしてくれないと。

 案外、この世界の領主はしょぼいな。


「次にカズマ君が、依頼を掛けた城塞都市デリア内での魔物討伐の依頼だが、これは冒険者ギルドがかけたモノとは異なる依頼となるので、その報酬が――」


 何故か知らないが次々と加算されていくマイナスな金額。

 

「――で、結果的に、俺への報酬はいくらなんだ?」

「そうだな。まずは、結果的に見た報酬は金貨400枚と言ったところだな」

「とりあえずはプラスなんだな」

「うむ。魔王軍四天王のアデルデンの討伐報酬が金貨5万枚。新生・魔王軍四天王の皆月茜の討伐報酬が金貨10万枚。合わせて15万枚、そこから冒険者ギルドが立て替えていた金額を引いた額が――」

「金貨400枚という事になるわけか」

「そうなる。まぁ、これでも、かなり冒険者ギルドの方で融通を効かせた方だ。それにエミリアさんの事もあるからな」

「……なるほど」


 俺は、そこでようやく魔王軍討伐の報酬の話を先にするのではなく、エミリアの市民権に関しての話を先にもってきたことを察する。

 つまり、エミリアの手前、意地汚く報酬について文句を言うなという事なんだろう。

 

「ふっ。ラムド」

「何だ?」

「今回だけは、その提案に乗っておこう」


 俺の言葉に溜息をつくラムド。

 

「――さて、カズマさん」

「何だ? ソフィア」

「港町ケインの冒険者ギルドとして、カズマさんの冒険者ランクをSランクに任命したいと思います。今回、エミリアさんの冒険者ランクは、城塞都市デリアの冒険者ギルドマスターであるラムドさんの一存でSランクとして任命される予定ですので、従者がSランクですと、主がDランクは要らぬ詮索を受ける可能性があると思いますので、どうでしょうか?」

「――え? 私がSランク冒険者ですか?」

「そう言うことになる。さすがに異世界の魔神と魔王軍四天王の呪いを解呪できる者がSランクでないのはおかしいからな。それに君の戦いを見て居ればSランクの認定は当然とも言える」

「それで、どうでしょうか? カズマさん」

「とりあえず、勘違いしているようだが、先に言っておくがエミリアは従者ではなく俺の女であり妻だ。それ以上でも、それ以下でもない。だから従者と言うのはやめてもらえるか?」

「……分かりました。それでSランク冒険者の称号は――」

「まぁ、受け取るとしよう。エミリアがSランク冒険者なら俺もSランク冒険者ないと恰好が付かないからな。それに――」


 今回、城塞都市デリアが襲われた問題は俺にも原因があるからな。

 





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