第49話 ハイネの町(1)
休憩を取ってから何事もなく、地平線の彼方に人工物が見えてくる。
「大きな湖が見えますね」
「そうだな」
前方には、ハイネの町が見える度にキラキラと湖面が光る巨大な湖があり、その周辺には青い屋根で統一された建物が無数に立っているのが確認できた。
そして、その外周には白い壁が聳え立っていて、町を囲っている。
どうやら、ハイネの町の全貌を一目で見えるのは、俺達が移動している街道の方が高い位置にあるからみたいだ。
「あとは城があるな」
「地図には、ハイネ伯爵の城みたいです」
「ハイネ伯爵が治めているからハイネの町なのか……。まぁ、久しぶりに風呂に入れるし、エミリアも久しぶりに夜に眠れるから、良かった。夜に魔物の襲撃に警戒するのは疲れるだろ?」
「私は、そこまで……。一応、妖狐族は鼻と耳が効きますので危険に対する察知能力は高いのです」
「なるほど……」
俺は、馬の手綱を操り、幌馬車をハイネの町を囲っている壁――、その城門の方へと走らせる。
徐々に城門が近くなっていき――、そして……。
「あれは……」
「カズマさん、魔物です!」
「ああ、分かっている」
ハイネ城の城門前には、数百の魔物が攻撃を仕掛けているのが見える。
魔物の種類は、トカゲのようなモノ。
地球で言うと、コモドドラゴンのような形をしているので、おそらく――。
「城壁を登るんだな」
城壁の上で防衛に当たっている装備が統一されている兵士が必死に城壁を駆け上がるトカゲを槍で刺し地面に落しているが、殆ど槍が刺さっていない。
「防御能力は高いのか……」
まるで、アルドガルド・オンラインのアリゲーターみたいなやつらだな。
まぁアルドガルド・オンラインのアリゲーターは宝石を体内で作る初心者には金稼ぎに丁度いい雑魚モンスターだったが……。
「とりあえず、このままだと町に入れないから一気に始末する! エミリア、幌馬車の手綱を持っていてくれ」
「分かりました」
エミリアに幌馬車を真っ直ぐに走らせながら、俺は幌馬車の上へと昇り前方を確認。
右手を城門へと向けながら視界内のコンソールキーを――、魔法発動の為に高速で動かす。
「LV2の土属性魔法! アース・スピア! 連打!」
次々と、地面から土を圧縮して作られた鋭利な槍が地面から空へと向けて射出されていく。
一回の発動で10本の槍が空へと向けて放たれるので、魔物が密集している場所だと、効果は抜群だ!
次々と俺が作り出した土を圧縮して作られた槍により腹から刺され絶命していき、残りが数十匹となったところで一目散に逃げだそうとするが――、
「逃がさん! LV6土属性魔法! イラプション発動!」
魔法が発動と同時に地面が連続して爆発し爆ぜる。
それにより爆発四散した数百にも及ぶ土の破片が地雷のように辺りに高速で撒かれ、魔物達を一掃した。
「まぁ、こんなものか」
「カズマさん」
「――ん?」
馬の手綱を握っているエミリアが何かを決意したかのように俺をみてくる。
「今度、私にも攻撃魔法を教えてもらってもいいですか?」
「別にいいが……」
俺、この世界の魔法の教え方とか知らないぞ?
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