第二章 第一次魔法大戦編
第一話 再会そして戦い
私とルートヴィヒは魔法学院を休学して、戦争へと志願した。
私達は北の戦地へと赴く事になり、軍の馬車に乗っている。
当初八歳の子供を戦地に赴かせるのに反対した軍の上官だったけど、私の魔法の実力を知って渋々ながら了承してくれた。
北港街チェスタまでは三週間かかるらしい。
時折現れるモンスターを倒しながら進む。
三週間が経ち、北港街チェスタに着いた。
チェスタまでは進軍されていないみたいで安心した。
現在海での海上戦になっているらしいけど、戦況は一時は劣勢だったらしいけど、大賢者イルティミナが来てから押し返しているらしい。
チェスタの街には仮設されたいくつもの救護室が並んで建っている。
中を覗いてくと、怪我人達が雑魚寝状態で寝かされていた。
その怪我人達を衛生兵が薬草などで治療していく。
その中に見知った顔があった。
「ローナ!!」
負傷兵の治療を行っていたローナは振り返り、驚いた表情をしている。
「ステラにルートヴィヒ!? どうしてここに!?」
ローナが無事だったのに安心してローナに抱きつく私。
「無事で良かった。ローナごめんね、遅くなって。私も来たよ」
嬉しさのあまり涙目になる。
「来てくれなくてもよかったのに。でも嬉しい。来てくれてありがとう」
ローナも私につられてか涙目になる。
抱き合いながら二人で泣いた。
本当に無事で良かった。
このあとルートヴィヒと二人で怪我人達に回復魔法をかけていった。
衛生部隊の隊長しか回復魔法の使い手が居らず、私達の存在はかなり喜ばれた。
負傷兵からは聖女様と呼ばれたりもした。
このまま衛生兵として残ってくれないかと言われたけど、私とルートヴィヒは断った。
ローナと別れ、港に停めてあった軍船へと乗り込む。
私達を乗せた軍船は海上戦が行われている戦場へと向かう。
ガラルホルンが作った魔導船と違い帆船なのでスピードは遅い。
戦場につくまでに三日かかった。
戦場に近づくにつれ、大砲の音や魔法の炸裂音が聴こえてくる。
いよいよ戦場へと入るのだ。心臓がバクバクと早く鼓動している。
思わずルートヴィヒの手を握ってしまう。
ルートヴィヒは優しく笑いながら手を握り返してくれる。
まだ怖いけど大丈夫。戦える。
旗船フラッグシップの隣に船を停め、旗船に梯子を連結させて、持ってきた物資を兵士達が積み込んでいく。
私達はイルティミナの弟子という事で上官と共に旗船の会議室へと赴く。
会議室に入ると、司令官や幕僚達の中にイルティミナ、チェルシー、マルタを発見した。
私とルートヴィヒに気付き驚いた表情をしているマルタ。
イルティミナとチェルシーは私達を見て頷く。
来るのが分かっていたみたいだ。
イルティミナの弟子という事で私達も会議に参加する事になった。
現状はヨルバウム帝国軍が有利な状況なようだ。
だがガゼット皇国には十二星王に名を連ねるカルフェド·イングラムが居る。
十二星王での異名は『弓王』。
ガゼット皇国の大元帥を務める猛者だ。
彼がいるからガゼット皇国は大国を名乗れると言っても過言ではない。
当初はカルフェドの弓による攻撃で不利な状況に陥ったみたいだけど、大賢者イルティミナがカルフェドの相手をする事で、こちらが有利になったみたいだ。
あちらの船は五十隻。こちらは百五十隻と、数ではこちらが圧倒的に有利。
だがあちらの魔法が中々強力らしく、攻めあぐねている状況らしい。
イルティミナの提案で、マルタ、チェルシー、私を含む魔術士達が相手の魔法や大砲を防いでる間に、軍船を敵船団に近づけ白兵戦へと持ち込む事になった。
ルートヴィヒは白兵戦部隊の船に編成され、私、チェルシー、マルタは旗船に編成される事になった。
会議が終わった後、マルタにすぐさま抱きついた。
「マルタ、無事で良かった!!」
泣きながら抱きつく私の背中を撫でるマルタ。
「なんとか無事だったよ。イルティミナ様が来てくれなかったら今頃海の藻屑になっていたと思うけど」
イルティミナがドヤ顔で胸を張っている。そんなイルティミナを無視してチェルシーにも抱きつく。
「チェルシーも無事で良かった。心配してたんだからね」
「···ステラなら来ると信じてた」
相変わらず感情がわかりづらいチェルシーだが、少し笑っているように見える。
イルティミナが、さぁ抱きつけと言わんばかりに手を広げているけど、無視してマルタやチェルシー、ルートヴィヒと共に再会できた事を喜んだ。
しばらく五人で歓談した後、それぞれの持ち場へと移動する。
いよいよ作戦が実行される。
ヨルバウム帝国軍船団がガゼット皇国の船団に向けて突撃した。
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