第108話 見守るしか出来ないけれど(同棲百合。推しグループが解散して嘆く恋人を見守る)
「寝てる」
「……」
頬には、涙の痕。
テーブルに並んでいるのは、推しグループの最新アルバムで、ラストアルバム。
自動で曲を流し続けるコンポをひとまず止め、テーブルに突っ伏している彼女を何とか持ち上げ、すぐそばのベッドに転がした。
それでも起きないのは、多分最近ほとんど眠れていないからだ。
「好きだからこそ、辛いね」
「……」
いつもは、アルバムやシングルが出たら大喜びなのに。
最後だってなると、やっぱり辛いよね。
私は、彼女たちのことは「いい歌だな、仲良さそうだな、いいね」くらいの好きだけれど、この子は違う。
ずっとずっと、デビュー当時から好きだったのだ。
『私の人生の柱で、支えなの!』
好きなものを好きだと語る彼女が大好きだから。
「また落ち着いたときに、話してね」
ゆっくりでいいから、無理しなくていいから。
どうぞ彼女が、大好きな人たちの決定を、納得のいくように受け入れられますように。
「おやすみ」
私は、彼女の額に口付けてから部屋を出た。
夢の中では、ただただ楽しい気持ちでファン活をしていたらいいな、とそっと願った。
END.
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