第37話 習慣2
準備体操も終わりストレッチ、そして本格的なトレーニング。
二人とも41才ともなり体はなんとか柔らかいのもこのトレーニングのおかげもあるのであろう。
二人の結婚当初、マンションにパーソナルトレーナーのチラシが入っていて担当の写真がイケメンというだけで李仁が、勝手に申し込んだのが始まりであり、その担当が明里の夫であるトレーナーだった。
明里自身はOL時代に湊音と別れた後にヤケクソで始めたジムでのダイエットをきっかけにジムトレーナーになって夫婦でパーソナルジムを経営、子供二人に恵まれた。
夫が元恋人の湊音達の指導をしていることを知り、再開するのだがこのことがきっかけで色々あって(本当に色々ありすぎて)離婚原因の一つになって今は子供二人抱えて一つのジムを拠点に出張パーソナルトレーナーとして生活しているのだ。今や雑誌やSNSでも人気なのだが、地元での活動を大事にしている。
1時間たっぷりトレーニングを終えたあと、一人一人この二週間の生活や食事などを管理したアプリを元に分析した結果を明里がタブレットで見せながら生活指導。
李仁は自分の数値を見て前よりも悪くなってるのは実感しているようだ。
「お酒とタバコの量が増えてる。李仁さんはわかりやすいわ、こういうの隠す人いるけどあなたはちゃんと申告してくれる」
「ちゃんと申告したほうがちゃんとしたアドバイスくれるし……隠してもバレちゃうもん、明里には」
「そうかしら。あとデータも嘘つかない。睡眠データも見させてもらったわ」
と、李仁の睡眠時間も表示される。スマホを見てる時間で起きているかどうかもわかるようだ。
「あら嫌だ、ほんと私たち明里ちゃんに全部筒抜けね、ねーミナくん」
と李仁はストレッチしている湊音に声をかけるが、ん? という顔をしている。
「筒抜けって……さらけ出してるのは貴方達でしょ」
「かしらー?」
明里と李仁は笑う。女子同士の会話かのよう。
一通り李仁と湊音の半月分のコンディションと次のトレーニングの間までの指導が終わった。
湊音たちは毎回彼女のために弁当を用意している。弁当箱は洗わなくてもいい使い捨てのペーパーボックス。すぐ食べられるようにとサンドイッチだったりおにぎりだったり、ホットドックだったり。
月の2回の日曜日、明里も子供二人といたいところを湊音と李仁のために時間を割いてくれたからという気持ちもある。
「いつもありがとう。今日は何かなー」
明里はボックスをあける。湊音は少し困った顔をしている。
「本当はサンドイッチの予定だったんだけどいろいろあっておにぎらず。色々具材詰めたから」
「ふぅん、いろいろあってか。二人とも体調とメンタルには気をつけて。隠れてこそこそしてても私にはわかるんだからね」
そんな彼女もまだこれから夜まで仕事である。せっかく仕事入れるならと同じ日程で夜まで数組のパーソナルレッスンを入れているのだ。
すると明里のバッグの中からスマホの着信音が。
彼女はスマホのボタンを押した。
「あら。シバくん」
と発した声に李仁と湊音はすぐさま反応した。
「今、シバって……?」
「あ、うん。シバ。ベビーシッターさん」
「ベビーシッター?!」
明里が着信に出た。そこには子供二人を抱えたシバが映っている。
「シバ!」
『湊音、李仁?!』
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