第10話 また明日から
李仁と湊音、一緒にご飯を食べる。しかし今日はいつもと違う、と李仁は察した。
「ミナくん、ご飯の量少なめじゃない。食欲ないの?」
確かにそうである。教師の頃は剣道指導もしていたこともあってか山盛りのご飯二杯は必ず食べていた湊音。今日は茶碗の半量である。
「んー、今日からダイエットをしようかなって。前みたいに運動してないし……あ、セックスは除く」
「まぁ、ある種セックスもスポーツほど激しくやれば運動になるけども」
「……まぁね、でね! 40も過ぎたら体重落ちにくいって。教師辞めてから尚更」
そう言いながら湊音は白いご飯から箸をつけようとすると李仁が声をかけた。
「白いご飯から食べちゃダメ。サラダから食べて」
「はいはい、そうでしたー」
湊音はニコニコしながらサラダを口にする。トマトやきゅうり、レタス……少し辛いワサビドレッシングがアクセントだ。
「唐揚げ美味しそー」
ごろっと揚げた唐揚げを湊音は頬張る。
「米粉、米油で仕上げた唐揚げ。どうかしら」
「うまいうまい、って食べ過ぎはダメか」
「やだー、せっかく私が作ったんだから」
「程々にしておくよ」
「うん、わかった」
李仁はせっかく自信満々に作った唐揚げを程々にされてふてくされる。
彼は前にバーで働いていて料理はとても得意。働いてる頃は試作品をたくさん作っては湊音に食べてもらったほどだ。
「ふてくされるなよ、飯が不味くなる」
「て、食べるほどのご飯はないけどどうします?」
李仁の微笑みに湊音は苦笑いする。
「……ご飯、いただきます」
「はーい、つぎますね。まだ唐揚げ揚げるから」
「うむ」
湊音はまいったなぁと味噌汁を口に注ぎ込む。
「ダイエットはまた明日からにするよ」
「そうしなさいよ」
二人は笑った。
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