【あとがき】
物語の余韻が残る中、少しだけお時間をください。
この物語は私が小学生の頃住んでいた札幌の街中が原点です。私は田舎の小学生だったのですが家庭の事情で1年間だけ札幌に住んだことがありました。
街にはたくさんのビルが並び、皆急ぎ足です。
私は音楽教室へ通うために毎週バス・地下鉄を乗り継ぎ、街の中心部へ向かいます。そこには見たこともない華やかな世界がありました。しかし、ある時気が付いたのです。大通りを1本ずらした所に木造の小さなお店が有ることを。
まさに「時代屋時計店」!
私は、それを見つけて以来、色々なことを想像しました。
そして、時は過ぎ、大人になった私は仕事の関係で街中の大きなビルで研修を受けることになりました。スーツに身を包み、仕事を覚えることに精一杯の頃です。
研修の合間に私は9階の窓からふと真夏の街を見下ろしたのです。そこにはなんと、小学生の頃見た木造の古いお店が有ったのです。ビルの間にひっそりと佇むお店です。
同じものだったのかは正直定かではないのですが、そのお店を見たとたんルーズリーフに絵を描き始めました。
しばらく私の頭は小学生に戻ってしまったようです。
更に時は進み、私は結婚をしました。子育てに追われる日々は超現実の世界です。
本を読む暇もありません。本を開いても直ぐに寝てしまします。その頃でしょうか、あの時代屋時計店のような古いお店を思い出したのは。
私は何年もかけて頭の中だけで物語を紡ぎました。忘れてしまった時期もあります。でも最初から何度も思い出し、くるみやミナト、フウマを作り出しました。
そして時はコロナ禍に入ります。
私は仕事に行けない時間や自宅待機など、たくさんの自由な時間を手に入れました。もちろん子どもたちは大きく成長し、母をさほど必要としません。その頃タイミングよく、誰でもネット上で小説を投稿できることを知りました。
そして、とうとう時代屋時計店の執筆を決心したのです。
何年も何十年も漬け込んだお話です。
ファンタジーは子どものものだけではありません、年齢も性別も問わず誰の心にも入り込める素敵な世界です。
どうか、皆様の心に私の物語が届きますように。
そして都会へ出た際は、時代屋時計店を探してみてください。もしかするとケイジロウがあなたの時計を見てくれるかもしれませんよ。
2022年 12月(奇跡が起こる季節) しほ
時代屋時計店 しほ @sihoho
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