第3話 隣国アイストルスト王国
数日後。
私は、お隣の国のアイストルスト王国の王都を歩いていた。
私がいたルイーナ王国は居心地が悪く、王宮はもとよりリフレイン公爵邸ですら私の居場所は無かった。
第一王子のリッカル殿下に至っては、初顔合わせから私の方を見ない。
そんな状態だったから、盟約が果たされなかった時の準備をするのは当然のことだと思う。うん、思うよ。
私の外見は14~5歳くらい。
顔立ちは少し可愛いかな? 程度で、髪の色は今は赤茶に戻している。
ちなみに王宮では金髪にしていた。
女の子らしく長い髪をみつあみにして、服装はブラウスに長いスカート。
斜めに下げたカバンには、今朝作った下級ポーションが入っている。
そんないで立ちで、私はなじみの冒険者ギルドに入って行った。
「買取お願いします」
受付のお姉さんに、下級ポーションの買取のお願いをする。
ギルドのカードも一緒に提出した。身分証明だ。
「あら。いつもありがとうね。ナタリーちゃん」
そう言いながら、品質と本数を確認していた。
そして、報酬と次に使う薬草をカバンに詰めてくれている。
「ありがとう」
私は報酬を胸の内側に入れて、カバンを斜めに下げ直して出て行こうとした。
「ああ。来週は少し多めに納品してもらえるかしら」
「多めに……ですか?」
ああ、それでいつもより多く薬草が入っているんだ。
「なんだか、国境の方の森の魔物が多くなってきたので、討伐に出るとかで……」
「構いませんけど、下級ポーションですよ。中級とかの方が」
「もちろん、中級や上級のも持って行くらしいけど高価だし、作れる人が少ないのよ。だから、お願い」
ねっ。という感じで、両手を合わせてお願いしてくる。
「私はお金になるから、いいですけどね」
やれやれという感じで、冒険者ギルドを後にした。
実は下級ポーションは、誰にでも作れる。瘴気がある森の入り口に自生していて、薬草自体に魔力があるからだ。
ただ、作り方が複雑で面倒くさいわりに報酬が低いので、10歳くらいになって普通に働けるようになったら、さっさとやめてしまう。
だから私の様に作り続けている人も、貴重なのだそうだ。
まぁ、私は魔法で簡単に作っているのだけどね。
それにしても、魔物が増えだしたんだ……。
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