第75話 覚醒

首を横に振った瞬間[魔力弾]が俺目掛けて飛んでくる


「ルーカスっ!!ユウシなんてことをっ!」


「いや、だってあいつ敵なんでしょ?」


いきなり飛んできてちょっとビックリしたけど[魔力弾]は普通に躱した


それよりも驚いた

ユウシだと?あれが?

魔力量は確かに多かったがここまで劇的に増えるか?尋常じゃない


それにあの魔力の色、完全に金色だ

それに感知する魔力が以前のユウシと全く違うものになっている


「同級生をいきなり殺しにかかるなんてやべぇな」


「君みたいな厄介なやつ敵だと邪魔なんだよね」


ユウシに厄介認定されるような事はしてないはずだが…


「待って!ユウシ。お願い、少しだけでいいから話をさせて」


「分かりましたよ、少しだけですよ」


ユウシは手をプラプラさせてその場に座り込む


「なんで貴方が魔人側にいるの?」


「守りたい人がいる」


俺の答えにユーリさんは表情を歪ませる


「魔人は侵略者よ!!貴方は騙されているだけよ!!」


「魔人と話をした事があるか?彼らは俺らと何も変わらない必死に生きてる。子供だって沢山いたし人間なんかより優しい人達も沢山いた。それなのに侵略者?勝手に決め付けて殺してもいいってか?俺は人類大陸では得られなかった絆を魔大陸で得た。その絆を守る為なら人間と戦うなんて容易い」


聞き終えたユーリさんの表情は青ざめていた


「そんな…私は…私は…」


どこか挙動がおかしい

まるで自分が意図していない事でもしたかのように


「ルーカス君あれは…」


カイトが何かを言いかけた瞬間

辺り一面を光が覆った



*side 目隠しちゃん(マリア)



完全ではないとはいえ魔族であるこの私と互角以上に戦うなんてほんとに厄介


でも逆に考えればこのジジイさえ倒してしまえば魔人にはこれ以上の戦士はいないということ人間も獣人も大したことはない


想定よりも生贄は足りないがこのジジイを倒すくらいなら容易いわ


その為には時間が必要ね


洗脳魔法を使い

近くにいる人類軍を集めてジジイと戦わせる


その隙に儀式を行う


「なんじゃ、逃げるかの?」


「えぇ、そうよ。ではさようなら」


この戦場で死んだ魂

先日の大規模殲滅魔法で死んだ魂


それらの魂を生贄に捧げる


辺り一面を光が覆う


身体の奥底から湧き上がる魔力


私は復活した

完全なる復活ではないが充分だ

洗脳魔法は使えなくなったがこの圧倒的魔力で全てを破壊する


手始めにここら一体のゴミ共を殺し尽くしてその魂を使い仲間を召喚しよう


「まさか…先程とは次元が違う」


騎士団のゴミを片付けジジイがやってきた

魔力波を指から放つ


ジジイは為す術なく頭を貫かれ絶命した


先程まで苦戦していたジジイもこの通り、もう私に勝てるものは存在しない!!

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