第65話 ライム=ビート

あれから丸3日走り続けた

流石に頭が冷えた俺は道中情報を仕入れながら向かう余裕が出来た


魔人が大陸を支配しようと戦争の準備を始めているから人類と獣人で協力して魔大陸を攻め落とすという話らしい

その為の第一波が今回の大規模殲滅魔法


魔人が大陸支配を考えているだと?

去年行った時、街中からそんな雰囲気は感じられなかった


この1年で何か変わったか人類側が嘘をついているか…


後者だったら俺は人類と戦うのか?


前者だったら…?

魔人と戦う?クレアや師匠と?


考えるまでもない

俺の答えは決まってる



さらに2日走って魔大陸に到着した


取り敢えずクレアの家へ向かう

1年前に行ったきりだったから道が不安だったがもはやそんな次元ではない


どこが道でどこが家か分からない

あまりにも凄惨な光景

こんな状態で生存者がいるのか?


だがクレアと師匠は生きてる

なにも根拠はないけど不思議と確信があった


魔力感知は最大限まで広げながら

片っ端から探していく


見付からない

けど日が落ちて暗くなってきたから今日はもう休もう



*side 師匠



よかったクレアは生きてた

もしあいつがいない間にクレアが死んだなんて事になったら顔向け出来ないからな


多分この騒ぎに気付いた時点でこっちに向かって来てるはず

クレアはあいつに任せればいい

俺は俺のやるべき事をやる


ぶっ飛ばしていきゃ3日もあれば着くがそれだと間に合わないかもしれない

ちともったいないが使うしかないか

転移札…自分が訪れたことがある場所を思い浮かべながら札を切るとその場所に転移できる

かなり便利だがくそ高い

んじゃ行きますか、人類大陸



……ビンゴ


人類大陸に着いた俺の目に入ったのは人類軍が魔大陸に向かっている様子


想定よりかなり早い

ここで食い止める


軍勢の1番後方にいる女がおそらくそうだろう

ヤバそうな奴はそこそこいるがあいつは桁違いにヤバい

一撃で仕留めて混乱に乗じて脱出する


体内で魔力を練り上げ

身体中を魔力の膜で覆って感知対策

一瞬で相手に近付き


「居合[斬]」


練り上げた魔力を手から放ち首を刎ねるっ!!


「あら、ちょっと痛いじゃない」


間違いなく俺の全力で首を刎ねにいったが刎ねるどころか首が少し曲がっただけ


「曲者だ〜!!」

「殺せ〜!!」

「マリア様をお守りしろ〜!!」


「静粛に!」


マリアと呼ばれた少女が手をパンと叩くと騒いでいた騎士達が静まる


「私が相手をします」


ゆっくりと歩いて俺の前にくる

その余裕が命取りだ


「初対面だと思うのだけどどこかで会ったかしら?」


「生憎魔族の知り合いなんていないんだわ」


魔族という単語を聞いた瞬間少女の圧力が跳ね上がる


「どこでそれを知ったのか教えて貰いましょうか」


「生憎口は固い方でね」


「すぐに話させてあげるわ」


超スピードで少女が向かってくる


初手が失敗した時にすぐ体内で全魔力を練り上げていた

今度は放つんじゃなく暴発させる

俺も巻き込まれるが仕方ない


「ふっとべ[瀑布]」


あばよルーカス楽しかったぜ

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