第53話 Summervacation

最大のイベントをなんとか乗り越えた僕にやってきた人生2度目の夏休み


1度目の夏休みは宿題をこなしただグーダラ過ごして終わった

ボッチにとって夏休みとは誰とも過ごさなくていいボッチ加速の期間なのだ


だが今回は違う

キルシとかユーリさんに色々と誘われたけど全て断った

俺には行くところがある

そう、魔大陸だ

夏休みは1ヶ月

入試の時片道20日かかったがあれは無理をせずに移動した

今の僕なら多少無理はきくし、[解放]もある

かなり短縮出来るはずだ


僕は夏休みが始まってすぐ移動を開始した

休憩と睡眠をなるべく減らして[身体強化フルバースト]を使い移動した


最初の頃はすぐ魔力も体力も限界に達していたがしばらくすると1日くらいなら余裕で使い続けられる様になった

途中[解放]と掛け合わせて使おうとしたけどあまりにも消耗が激しくすぐ断念した

結局出発してから15日ほどで着いた


半年ぶりの師匠の家

相変わらずボロボロだがそこがまた安心できる

家の中に師匠はいないどこか出掛けてるのだろうか?

着いたのは夜中で疲れが溜まっていた僕はすぐ眠りについた


翌朝まだ師匠は帰っていない

もしかして僕は違う人の家に来てしまったのではないか?

そんな思考が駆け巡ったが2年近く過ごした家を間違えるはずもない


朝起きてから修行を軽くしてご飯を食べた

特にすることもなくぼーっとしていたら

扉が空いた


「師匠!?」


「先生じゃなくて悪かったわね!」


赤い髪にこの声、この表情、この喋り方

間違いない


「クレアっ!!」


僕は気が付くとクレアに抱きついていた


「ちょ、ちょ、ちょっと暑いわ!離れなさい!!」


クレアは顔を真っ赤にしながら抗議する

ほんとにクレアだ変わってない


「クレア会いたかったよ!」


「私もよ!相変わらず元気そうね」


フンっと顔を背けながらも笑みが溢れている

クレアはチラッと僕の腕を見た


「これもちゃんと付けてるよ」


「ならいいわ!」


「ところで師匠は?」


「2週間くらい前、8月になったらルーカスが来るとだけ言い残してどこかへ行ったの」


「師匠らしいね。会いたかったけど仕方ないか、クレアだけでも会えてよかった」


「いつまでいるの?」


「帰るのに10日は欲しいから4日くらいかな」


「そう、じゃあ私の家に来て!一緒に過ごしましょ」


「いいけど、その…大丈夫?」


「なにがよ」


「一応僕人間なんだけど」


「そんなの気にしないわ!大丈夫よ」


「じゃあお願いしようかな」


僕は特に何も考えず了承した事をこの後後悔することになる

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