僕が歩く道

第52話 Dear My Friend

ふぅ…

頭の中を整理して少し落ち着いた

けど分からないこの人は一体何を考えてるんだ

僕は世間一般でいうイケメンではないし

実力だってユウシより下だ

決して生徒会長が欲しがるような人間ではない

それに…

｢第1試合で僕に刺客送り込みましたよね？｣

｢あっ、あれは…ちがっ！違わないけど……あの戦いを見てあなたが欲しくなったの！｣

｢全く分かんないですし、そんな人のものになりたくはないです。それに僕は誰かのものになる為にこの学園へ来たわけじゃありませんから｣

ちょっと強めに言い睨む

そんな僕を見て生徒会長は真剣な表情になる

｢そんな君も素敵だけど私も譲れないわ。だから決闘しましょう｣

決闘とは騎士学園特有の文化、1対1で武器なしで戦い勝者は敗者に一つだけ命令を下せる。成績下位者からの決闘申し込みを成績上位者は断る事が出来ない

今回に関して生徒会長は成績上位者だ

いつもの僕ならここでNOと即答している

でもそれじゃあこの人は納得しない

｢わかりました、ただし条件があります。誰にも目につかない所で決闘を行うこと、勝敗に関わらず僕と決闘した事は秘密にすること。あと僕からの命令は今後このような変なことはやめてください｣

｢分かったわ、決闘を受けてくれるなら条件を呑みましょう。私からの命令は私の伴侶となり障害を共にする事よ｣

私のものになれって結婚しろってことだったのか！？

確かに生徒会長は美人で誰もが憧れる存在だ

だからと言って好きでもないのに結婚するなんて冗談じゃない！！

元より負けるつもりもないけど負けられない戦いになってしまった

誰にも目につかない場所に移動して向き合う

｢現学園最強の力を見せてあげるわ｣

生徒会長から魔力が吹き出す

魔力量はユウシと同等かちょっと少ないくらいだが、より無駄がなく水色に近い色になっている

｢やっぱとんでもない魔力量してますね｣

対する僕は［身体強化］を発動

｢青い…魔力…？｣

生徒会長は初めて見たのか少し動揺している

すぐ気を取り直し構える

｢それじゃあやるわよ！｣

｢いつでもどうぞ｣

生徒会長が地面を蹴り上げ近付いてくる

顔面へのパンチをフェイクに腹に蹴りを放つ

そこそこ速いけど今の僕には通用しない

3歩下がると蹴りはギリギリ届かず伸びきった足は無防備に残される

敢えて攻撃せずそっと足を降ろしてあげる

｢どうです？降参しませんか？｣

｢あなたは一体なんなのよ！！私の方が魔力は多いのにっ！！｣

生徒会長は顔を真っ赤にしてパンチを連打してくる

僕はそれらをすべて捌ききる

決して反撃はしない

連打を終えた生徒会長はその場にへたりと座り込む

｢私の負けよ、いいえ負けることさえさせてもらえなかったわ。決勝で使わなかったのと口止めするってことはその力見られたらマズイものなの？｣

｢ノーコメントで｣

｢つれないわね。なら秘密は守るから私からの条件を1つ呑みなさい｣

｢可能な範囲なら｣

｢私と友達になりなさいルーカス｣

｢その程度なら喜んで、生徒会長｣

｢ユーリ｣

｢え？｣

｢ユーリよ！！｣

｢ユーリさん｣

｢それでいいの。これからよろしくね、ルーカス｣

なんかよく分からないけど友達が1人増えた