関口 陽(ひなた) (8)

「おい、私とお前じゃ、技量うでも『力』も私が一枚上だ。それは認めるよな?」

 残念ながら、笹原ささのはらが言ったのは事実だ。

「……ああ、悔しいが認めるしかねえな」

「だが、私にとっても悔しいが……とっさの機転はお前の方が上だ」

 ん?

「なら、私が上の階に居る奴を倒して、お前が『魔法』を使えない連中を護り、もし、私がブチ殺されたなら、『魔法』を使えない連中を外に逃がす。それが合理的だろ?」

「まぁな……」

 あまりにも妙な感じだった。

 そいつは……私が放った探索用の「気」を検知し……だが、反応が次々と広がる。

 上の階で……何体もの「何か」が騷ぎ始めた。

 それも……一体が私達を検知した途端、他のにも情報が伝わったような感じの……。

「そいつらに私は感知出来るのか?」

 続いてランが変な事を言い出した。

「えっ……?」

「そいつらが人間に取り憑いてるなら……私にも倒せるか?」

 へっ?

 あ……ああ、そうか。

 ランが着てる服には、かなり強力な「隠形」の魔法がかかっている。

 しかも、霊感がほぼゼロらしいランは、同時に魔物や悪霊にも「観」えにくい。

「ああ……建物ごと『清め』たのに無事って事は、人間に取り憑いてる可能性が高いな。でも……」

「でも……何だ?」

「どうやら、何かの方法で複数個体が連絡を取り合うタイプの魔物らしい。今までとは勝手が違うぞ」

「そうか……」

 そう言って、ランは携帯電話ブンコPhoneの画面を私達に見せた。

「ヘルメットのカメラの映像をここに表示している。ここを見て、私達が無事か判断してくれ」

 その画面に表示されているのは……動画サイトのライブ配信。

 そして、ライブ配信されているのは、私達の姿だった。

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