高木 瀾(らん) (5)

「おい、チビ、お前、何を言ってんだ?」

 夏にブチのめした「寛永寺僧伽」の大男(顔は隠してるが、どう考えても、私がこいつをブチのめした奴だと気付いてる)は、いきなりそう言った。

「だから、目標を居場所を知らせる必要が有るから、2つの『自警団』で共通して使える連絡手段は無いか? と言ってるんだ。もう少し噛み砕いた、小学生でも判る説明がお望みなら、少し時間をくれ」

「てめぇ、俺を阿呆だとでも……」

「ああ、そう言ってる」

「あ〜……すまん、ウチと『寛永寺僧伽』では使ってる無線機の規格が違う」

 「入谷七福神」のリーダーの御老体2人の内、小太りの方がすまなそうに、そう言った。

「じゃあ、複数の『自警団』が共同作戦をやる場合は、どうするんだ?」

「……携帯電話ブンコPhoneか……あとは……通信アプリMeaveで……」

 次は背が高い方の御老体。

通信アプリMeaveのグループ機能を使うか?」

「わかった、今、グループを作る」

 そう言って、「入谷七福神」の御老体2人は携帯電話ブンコPhoneを操作し……。

「おい、携帯電話ブンコPhone通信アプリMeave入れてる奴は、全員、このグループに入れ」

ひなた、あと『護國院』の大将、ドローンを操作してる奴らに、このグループを連絡しろ」

「は……はい……」

「あ……ああ……」

「じゃあ、説明します。対象は霊的・魔法的存在を『観』る能力は持ってるけど、魔法や超能力のたぐいを使えるかは不明。行く先々で悪霊を呼び出してます」

 「寛永寺僧伽」の女性がそう言うと、ほぼ全員の携帯電話ブンコPhoneから通信アプリMeaveの通知音。

『対象らしき人物を発見。御徒町刑務所の付近』

「なあ……私、霊感は、ほぼゼロ何だが……」

 私は関口に訊いた。

「何だ?」

「御徒町刑務所の辺りに……何か『観』えるか?」

 私のその一言を聞いた、ほぼ全員が、ほぼ同じ方向を見付ける。

「えっと……」

「ああ、刑務所の上空に剣呑ヤバい『異界』へのデカい『門』が開いてる」

「じゃあ、その刑務所の職員や受刑者は……?」

「……多分、無事じゃない」

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