関口 陽(ひなた) (1)
私と、さっきまで私の試合相手だった
その下っ端4人は、1人の術者を護るように取り囲んでいた。
「門」から次々と出て来る悪霊や魔物も……多少は知能が有るのか、本能的なモノかは不明だが、この辺りに居る中で、最も強い「気」の持ち主である、その人物を狙って来ている。
「オン・マカラギャ・バゾロウシュニシャ・バザラサトバ・ジャク・ウン・バン・コク……」
私達が護っているのは、「寛永寺僧伽」の子院の1つの№2クラスの人物。
ヤクザに喩えるなら、直参2次団体の
私達は、次々と押し寄せる悪霊や魔物達を撃退していた。
「おりゃあッ‼」
「クソッ‼」
悪霊や魔物は一体一体は弱いが、数が洒落にならない。
呪文を唱えたりする暇は無く、精神集中も「気」の煉り方も中途半端な簡易式の呪法を使うしか無い。
私の「炎」も、笹原の「光」も、最初の内に比べて、明らかに弱くなっている。
簡易式の呪法は、手軽に使えて、すぐに発動するが、効率はクソ悪い。体力や気力・霊力は、どんどん消耗していっている。
「いくぞ……」
私ら下っ端4人の中心に居るヤツの「気」は……極限まで高まっていた。
だが、それに気付いたのは、私達だけじゃない。
私達が担当している「門」の向こう側に居る「何か」も……。
それは……巨大な腕に見えた。頑丈そうな爪が生えた鱗だらけの黒く巨大な腕。
しかし、モノ凄い炎が放たれた。炎と言っても……私には炎に見えているだけで、実際には「気」だ。
多分、下っ端4人全員の力を合せたものよりも、デカい「気」。
腕に見えたモノは瞬時に吹き飛ばされ……それは悲鳴のように聞こえた。
門から全身に大火傷を負い片腕を失なった人型の魔物が転がり出てきた。
もちろん、これまた、私にそう見えてるだけで、実態は、単に力の大半を消耗した形の無い魔物だ。
そして、その魔物は消滅してゆき……いや……「門」から更に「声」が聞こえてくる。もちろん、この声も、本当の音ではなく、気配として感じたモノを私の脳が「声」に変換しているだけだ。
「門」からは次々とバカデカい……つまり、かなり強力な……だが、さっきの攻撃で多少の傷を負ってる魔物達が出て来るが……。
次の瞬間、私達のすぐ
そして、その「結界」の中に居た者達の「気」が
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