高木 瀾(らん) (3)

「おい、セコンドだかコーチだかを撮影チームのバイトのフリさせて雇うって、いくら何でも反則だろッ‼ セコンドやコーチならセコンドやコーチとして登録しとけッ‼」

 今度は、向こうの撮影チームの人間から連絡を受けたらしい、「寛永寺僧伽」のエラいさんらしき初老の男が怒鳴り込んで来た。

「うるさい、そんなルールどこに有る?」

「今まで誰も思い付かなかったズルだからって、ズルして良い訳無いだろッ‼」

「あの……じゃあ、私、撮影スタッフとしてのバイト代以外に、セコンドとしての報酬ももらえるんですか?」

 周囲は睨むヤツに頭を抱えるヤツ。

「だ……大体、君、一体全体、何者なの?」

 久留間さんが、私にそう聞いた。

「おい……お前……何言ってる?」

 今度は「入谷七福神」のエラいさん。

「い……いや……関口さんの知り合いって以外は、本当にボクも、この子が何者か知らないんですよ。……あの……『正社員』の方達も、何も知らないんですか?」

 ……。

 …………。

 …………………。

「そもそも、お前、誰だ?」

ひなたちゃんの友達の『本土』の女子高生ですぅ♥」

 ……。

 …………。

 …………………。

「あ……案外、受けませんでしたね」

「チベットスナギツネみたいな顔と大真面目な口調で『ですぅ♥』とか言われても……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る